約 2,790,061 件
https://w.atwiki.jp/tomogma/pages/11.html
新規開設メール 書式
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/1052.html
デビル メイ クライ 3 要約…part22-23によるwiki直接編集 ↑の要約で省略されている部分の補足……part22-26,34,65,83,106,107 ガチンコ省略しない編……wiki直接編集 借りたばかりで名前もまだ付けていないダンテの事務所にアーカムという謎の人物が訪ねて来る。彼は一年前に喧嘩別れしてから行方不明になったダンテの兄バージルを知っているようであった。アーカムは「彼からの招待状を渡したい」と言うと突然消え、代わりに大量の悪魔をよこす。乱闘で事務所は半壊状態に。 外に出ると街はすでに悪魔に襲撃されボロボロ。さらに近所に突如巨大な塔が生えてくる。その頂上にはダンテの兄、バージルが立っていた。 「当然もてなしてくれるんだろう?なあ、バージル」 ダンテは塔へ向かう。 巨大な塔の名はテメンニグル。かつて人間界と魔界をつないでいたという。アーカムとバージルは共謀して再び魔界を繋ぐべくこの塔を復活させたのだ。そして二人はダンテの持っているアミュレット(色違いを兄も持ってる)が欲しいらしく誘い込んだようである。 ダンテは塔のふもとでバイクに乗った謎の女に遭遇する。女はいきなりバズーカをぶっ放してくる。華麗に避けるダンテだが女は一言も交わさず塔の中へ走り去っていく。 さらに道中、ジェスターと名乗る妙にハイテンションなピエロが出てきてからかい混じりにダンテに絡んでくる。彼はこの塔のことならなんでも知っているらしく、この後も何度か現れてはダンテの道案内をしてくれるのであった。 また更に登っていると、さっきの女が空から降ってくる。 実はアーカムの娘。悪魔の力を手に入れるため彼女の母を含む大勢の人間を犠牲にしたアーカムを追って塔に入り込んだが逆にアーカムに返り討ちにあい放り出されたのだ。 落ちていくところを足をひっつかまえて助けてやったのにドタマに風穴を開けられるダンテ。 「助けてやったお礼に鉛玉とはね。わかったよ。どうぞお好きに」 「・・・あいつも悪魔か」一人呟く女。 二人は別行動を取る。 いよいよ塔の頂上で兄貴と対決するダンテ。 「なぜ偉大なる父スパーダの力を求めない?」問う兄バージル。彼の真の狙いはこの塔に封印されている伝説の魔剣士にして兄弟の父、スパーダの力であった。 「そんなの関係ない。あんたが気に入らないだけさ」答える弟ダンテ。 決着はバージルの勝利。ダンテは串刺しにされ、アミュレットまで奪われてしまう。が、同時に悪魔の力に開眼。新たな力とともに塔の下に消えた兄達を追う。 道中三度、あの女に出くわす。名前を聞くもそんなもの捨てたとのこと。ならばと「レディ(お嬢ちゃん)」と勝手に名付け、湧いて出た雑魚悪魔の相手を押し付けダンテは先を急ぐ。 途中、お世辞にも仲が良いとは言いがたかったバージルとアーカムが遂に決裂。 「娘だからとあの女を殺さなかったな。もう少し使えると思ったが。ここまで来ればもはや貴様に利用価値はない」 アーカムを始末し一人、バージルは扉の向こうへ。 その後、倒れているアーカムの所にたどり着くダンテ。更にその後ろから追いついたレディ。 「この男を殺したの?」 「だったらどうする?」 激昂して銃を乱射しながらこの塔に来た経緯を語るレディ。 「こいつは最低の父親よ。でも家族だからこそ、自分の手で決着をつけたかったんだ!」 父親の事を最低のゲス野郎と吐き捨てつつもその死がやはりショックだったようで、気を落とすレディ。そんな彼女を置いてダンテは一人先へ進む。 「家族ね・・・」 ダンテが去った後、アーカムが意識を取り戻す。 咄嗟に銃を向けるレディだったが、アーカムは息も絶えだえに 今までの事は全てバージルに操られていたせいだった、奴を止めろと言い残して 力つきる。レディは泣きながら復讐を誓うのであった。 最下層で二つのアミュレットとスパーダの血(=自分の血)を捧げ、 塔の封印を解こうとするバージル。実は兄弟の持つアミュレットは塔の封印を解く鍵だったのだ。しかしなぜか何も起きない。イラついている所にダンテが現れる。 「さあもう1ゲームといこうぜ」 「いいだろう。貴様の血も捧げるとしよう」 二度目の兄弟ゲンカは互角。さらに激しい攻防の中レディが乱入して来る。しかし復讐の怒りをバージルにぶつけるものの、 「愚かな女だ……」と冷笑される。戸惑うレディ。 相打ち兄弟二人ともが膝をついた所であのピエロ、ジェスターが大喜びで現れる。 実はその正体はアーカム。彼が悪魔化した姿であった。 塔の封印を解くには二つのアミュレット、血族である兄弟の血、そしてスパーダが封印に使った巫女の血、つまりレディの血も必要だった。 そこで三人を導きつつ、封印の間に辿りつくまでに 不完全な力しか持たない自分でも倒せるくらいに三人とも弱るよう仕向けていたのだ。 ジェスターに反撃する三人だったがあっさりと返り討ちに。 さらにレディの血が封印に捧げられ遂に塔が起動してしまう。塔と魔界が繋がったのだ。 最下層がせり上がって最上階になる仕組みだが、弱った三人はアーカムに蹴り落とされ置いてきぼりに。しかもバージルはよほど消耗が激しかったのか更に地面の裂け目に落ちていってしまう。 アーカムを追おうとするレディにお前じゃ無理だ、と止めるダンテ。 「私の父親なのよ?私がやらなくて誰がやるって言うの? ……悪魔には分からない話かもしれないけどね」と吐き捨て、彼女は塔にロープを引っ掛け先に登り始める。その言葉にどこか思うところのあるダンテ。 「家族・・・父親ね」 バージルの落ちた裂け目に一瞥しダンテもまたアーカムを追う。 途中ヘタっていたレディと再会。人間の出る幕じゃないと制止するも聞かないレディ。 「そういう問題じゃない。あいつを止めろと私の魂が言ってるの!」 意地と意地のぶつかり合い。力づくで先へ進むのを諦めさせるダンテ。 落ち込むレディに「はじめは兄貴が気に入らないだけだった。でもあんたのおかげで何が大事かに気がついた。これは俺にとっても家族の問題だ」とダンテが諭すと、 その言葉でダンテを信用してか、バズーカを渡し後を頼むレディ。 「使用料は?」 「名前を教えて」 「・・・ダンテ」 「ダンテ・・・父さんをお願い」 そして塔の頂上から魔界へ乗り込むダンテ。 スパーダの力を封じ込めた魔剣を手に入れ完全な悪魔と化したアーカムと対峙する。 しかしスパーダの力に歯が立たない。絶対絶命のその時、彼を救ったのは兄バージルであった。 「その力返してもらうぞ」 兄と弟が共闘し遂にアーカムを討つことに成功する。 魔界から落ちたアーカムは塔の頂上で待っていたレディに見つかり、今度こそ撃ち殺される。 彼女の目からは涙がこぼれていた・・・ 一方魔界ではアーカムから分離した魔剣とアミュレットをめぐり兄弟が最後の対峙をしていた。あくまでも父の「力」を欲するバージルに対し、ダンテは力強く語る。 「大事なのは親父の力なんかじゃない、その誇り高い魂だ。そしてその魂が言っている。あんたを止めろってな!」 闘いはダンテの勝利で決着した。 魔界の門が再び閉じる鳴動が響く中、バージルは自分のアミュレットを手に 「俺はここに残る、親父の故郷のこの場所で・・・」と、伸ばすダンテの手を刀の切っ先で払い、みずから暗闇の中に落ちていった。 魔剣を持って人間界に帰ったダンテ。 塔の外で待っていたレディにバズーカを返し、全てが終わったことを告げる。たった一人の兄弟を失ったダンテは静かに涙をその目にためる。しかし余韻に浸かる間もない。辺りには塔の残党の雑魚悪魔が湧いて出てきたのだ。 「これからお互い忙しくなりそうね」 「やってくれるよ。だがこういうノリは嫌いじゃないぜ」 愛銃を構えるとダンテは高らかに叫んだ。 「楽しすぎて狂っちまいそうだぜ!」 エピローグ1,元に戻った事務所に満足そうなダンテ(1の格好)。 事務所の椅子についたところに早速依頼と思しき電話がかかって来、ダンテが事務所の名前を告げる。 「デビルメイクライ」 このシーンはレディの独白の「名前を知りたい?」の次に、 ダンテが店の名前を言う声がレディとハモってエンド。 店の名前「DevilMayCry」はレディがダンテに言ったセリフ 「Maybe somewhere outthere even a devil may cry whenhelosesaloved one,Don t you think?」 (なくしてしまった大事な誰かの為に涙を流せる―――そういう悪魔がひとりくらい、いてもいいと思わない?)から エピローグ2.魔界に落ちた兄貴。遠くに赤い稲光と共に謎の三つ目が現れ、 「魔界の王とやりあうのも悪くないか」と言った後、雄叫び上げつつ走って行って終わり(1に続く)。 あと小ネター。 ミッション開始時のムービーにはそれぞれそのミッション数が隠されています。 例:ミッション1→ダンテが食ってるピザの箱に「1」 ミッション2→ムービーラストでアオリになったダンテの頭上の看板に「2」 みたいな。答えは全部公式のコラムに書いてあるのですが、 中には「一瞬だけ写ったマズルフラッシュが!」とか 「空薬莢の底に数字が!(すげえ小さい)」みたいな 「わかるかぁぁぁぁ!!」と言うようなのもあって楽しめます。 26名前:デビルメイクライ3[sage]投稿日:2006/03/14(火)21 00 35ID apyEF/07 ぶっちゃけ 23で十分なんで、省略されちゃった方々とおいしい場面を書くに留める。 ケルベロス テメンニグルの門番。三つ首の犬(象並みの大きさだけど)。 「立ち去れ人間! ここは地獄の入り口。弱きものにこの先へ進む資格は無い!」 「Oh,喋る犬か、ドッグショーに出てみろよ。優勝間違いなしだぜ」 「侮辱する気か。後悔するぞ小僧!」 こんなやりとりを経てバトル。勝つ。 「貴様――人間ではないな」 「さぁ? 自分でも良く分からなくてね」 「いずれにせよ貴様は力を示した。貴様を認めよう。我が魂と共に進め」と言って、ヌンチャク(普通のヌンチャクじゃなく、三菱マークのように柄が三つあるヌンチャク)に変化。 アグニ&ルドラ テメンニグル中層の門番。剣を持った首なしの二体の巨像。実は剣が本体(柄に顔があって、それが喋ってる) ひさびさの客人をどうもてなそうか話し合う二体にイラつくダンテ 「もういい! 分かりやすく教えてやる。この扉の向こうに行きたい奴がいるんだ。どうする?」 「我らはここの門番。何人たりとも通すわけにはいかん!」 バトル。勝利してダンテが先へ進もうとすると、 「待て」「待たれい」 「我らはずっと待っておった」「そう、長年待っておった」 「我らより強き者を」「我らを操れる者を」 「「我らを連れて行くがよい。我ら兄弟が力となろう」」(ハモリ) それに対してダンテ 「いいだろう。ただし、一つだけ条件がある」 「何じゃ?」「言ってみろ」 「喋るな」 ネヴァン かつてスパーダに封印された悪魔。下半身にコウモリをあしらったロングスカート、上半身は裸(胸には髪がかかっているのでアレやソレは見えない。残念)の女性の姿をしている。 地下奥深くのライブハウス(みたいな場所)へやってきたダンテ。背後からコウモリが通り過ぎ、それが集まってネヴァンの姿に。 「いらっしゃい。こういうトコは初めて?」 「そりゃね。――優しくしてくれるんだろ?」 「勿論。きっと帰りたくなくなると思うわ」 「いいね。やる気が出てきた」 剣を構えるダンテ 「さあ――おいで、坊や」 一戦交え、勝利したダンテは倒れそうになるネヴァンの背に手を回して支える。 「あら、優しいのね」 そう言うが早いか、首筋に噛み付こうとするネヴァン。その腹に銃を撃ち込む。 「そうでもないさ」 「気に入ったわ、力を貸してあげる。あなたのお父さんはいい男だったけど――あなたは、どうかしらね?」 ネヴァンはギターに姿を変える。 ベオウルフ 鳥の手足、二対の羽、爬虫類の尻尾、一本の角を持つ魔獣。左目が潰れている(スパーダにやられた?)。 スパーダと同じ匂いのするダンテに襲いかかってくる。 ダンテに渾身のパンチを喰らわすが、カウンターで投げられた剣を受け、右目がやられる。 「忌まわしきスパーダの血を引く者! 目は見えずとも、貴様の臭いは覚えた! 貴様を殺すまで追い続けてやる! 貴様の臭いを辿ってな!」 と言って逃走。 後にスパーダの血族の臭いを追ってバージルと遭遇 「見つけたぞ、スパーダの血族! 言ったはずだ、貴様の臭いは覚えた。このまま貴様を逃がしたりはしない」 初対面の悪魔に訳分からん事を言われ、首を傾げる兄貴。有無を言わさず跳びかかってきたベオウルフの首を斬る。 「さっきの男とは――別人なのか? しかし、この臭いは――あの男と同じ―― 二人いたのか、スパーダの血族は――」 兄貴の納刀と同時にベオウルフの四分割された首が落ちる。カワイソス 魔力で引きずり出されたベオウルフの魂は篭手と具足に変化し、兄貴に装着される。 慣らしとばかりに、ベオウルフの死体をアッパーで殴り飛ばし、さらには回転踵落としで上半身と下半身を真っ二つに。テラカワイソス 34名前:デビルメイクライ3[sage]投稿日:2006/03/15(水)20 52 11ID rWy/mtlD ゲリュオン 魔界の瘴気を吸って悪魔化した戦馬。チャリオットを引いている(馬車並みの大きさだが、ゲリュオンはそれより大きい)。時間を操れるっぽい。青白い炎の鬣をもつ。 細長い通路に来たダンテの前に低級悪魔が立ちはだかる。ダンテが構えようとすると通路に火が灯り、ゲリュオンが悪魔たちを吹っ飛ばしながら奥から走ってくる。 「馬とチキンレースとはね。――面白そうだ」 ある程度ダメージを与えると通路の床がひび割れ、一人と一頭は落下。落ちた先は闘技場のような場所。 「チキンレースの次は決闘か、飽きさせないね。――観客がいないのが残念だけどな!」 戦闘後、しばし目線をかわした後、倒れたゲリュオンの魂(?)がダンテに吸い込まれる。無言で振り返り歩き出すダンテ。 そこに、通路の穴の淵の石が崩れ、落ちてくる。当たる直前に風景が一瞬ネガ反転し、動きが止まる(正確には超スローモーション) すぐ真上の石を突付き、邪魔な石を押しのけ進む。直後、石は落下。 アーカム 封印を解き、力を得て魔人化したアーカムは魔界まで追ってきたダンテに斬りかかる。 「ようこそ。父親の姿を目にした気分はどうだね?」 「下水でも覗いてるような気分だね。人の家庭事情に首突っ込みやがって、もうちょっとマシな趣味もつことを勧めるよ」 ダンテの軽口に余裕の笑みを浮かべるアーカム。ダンテも笑う。 「これを見てもそんな口が聞けるかな?」 すると、アーカムの体が膨れ上がり、何とも形容し難い姿に(洋梨に細長い脚のような触手が2本、腕のような触手が2~4本生えた感じ。ポーション色で、表面はヌルヌルしてる) 「力が溢れてくる――悪魔の力が、スパーダの力が――!」 「親父はそんな不細工じゃないさ。俺を見れば分かりそうなもんだが。」 剣の刃に自分の顔を映すダンテ。 「まあ、あんたにはお似合いかもな(剣を構えて)メインイベントの始まりだ!」 ある程度戦うがピンピンしてるアーカム 「愚かな。所詮貴様は半人半魔の不完全な物――スパーダの真の力に及ぶはずもない!」 そう言って叩き付けようとした触手が何者かに斬り飛ばされる。 「――何だ?」 振り向いたアーカムとダンテの視線の先にはバージルが。 「貴様!」 「返してもらうぞ。貴様には過ぎた力だ」 跳躍しダンテの前に立つ兄貴。 「おいおい、今さらノコノコ出てきて主役気取りかよ」 「では――あれがメインイベントに相応しいとでも?」 「言われてみれば――確かにそうだ」 二人はアーカムに向き直り、斬りかかって行く。華麗な連携でアーカムを斬り刻む兄弟。 「やめろ、私は――!」 弾き飛ばされた二挺拳銃の片方をキャッチし、 「今だけはお前に付き合ってやる」 「“決めゼリフ”を憶えているか?」 「「――“ジャックポット”!!」」 魔力のこもった二発の弾丸がアーカムを貫く。 「私は、真の悪魔の力を――!」 「品の無いセリフだ」 直後、アーカムの中から現れたフォースエッジと二つのアミュレットを追って、二人は穴に飛び込む。 場面は変わって、テメンニグル屋上 レディが上空に開いた魔界への穴を見上げていると、アーカムが落ちてくる。 「何故、私が―― 私は神になる男だ――誰にも屈したりはしない――!」 血を流し、うめきながら這いずるアーカム。レディが銃を向け、その前に立つ。 「驚いた。まさかとは思ったけど、そっちから近づいてくれるなんてね」 「――メアリ」 「その名を二度と口にしないで。私をその名で呼んでいいのは母さんだけよ」 「待ってくれ――私を撃つのか? 実の父親を撃てるのか?」 「――」 「私の何処に非がある! スパーダの伝説も犠牲の上に成り立っている! 私は神になりたかっのだ! その為に愚かな人間を犠牲にした――それだけの事だ!」 逆ギレしてぶっちゃけるアーカム。 「助けてくれメアリ 私にはまだやるべき事がある――」 「――メアリはもういない。今の私は――レディ。さよなら、父さん」 「! やめ――」 数発の銃声。弾が切れてもしばらくトリガーを引き続け、レディは膝を付く。乾いた笑いをこぼすが、その目からは涙が溢れる。 「涙なんか出ないと思ってた――」 65名前:デビルメイクライ3[sage]投稿日:2006/03/16(木)20 06 22ID jJYxd3Fe バージル(一回目) 雨の中、テメンニグル屋上に佇むバージル。そこへダンテがやって来る。 「来たか」 「全く、大したパーティだな。メシもねぇ。酒もねぇ。おまけに女も出て行っちまった」 「すまなかったな。気が急いて準備もままならなかった」 「まあいいさ、ざっと一年ぶりの再会だ。キスの一つでもしてやろうか?(銃を構えて)それとも、こっちのキスのほうがいいか?」 対峙する二人。 「こういうの、感動の再会って言うらしいぜ」 「――らしいな(刀を抜く)」 幾度も斬り合う二人。ダンテの剣がバージルの刀を弾くと、バージルはすかさずそれを取り直し、逆に柄でダンテを吹っ飛ばす。 吹っ飛ばされたダンテが撃った銃弾を刀を回して防ぎ、さらに飛ばし返し、ダンテはそれを切り払う。 「何故さらなる力を求めようとしない。父の――スパーダの力を」 「親父? ha,そんなの関係ない。あんたが気に入らない、それだけさ」 バージルに斬りかかって行くダンテ。その剣を刀で受け止めるバージル。接触点が赤熱化し始め、バージルがダンテの剣を大きく弾き飛ばし、ダンテの腹を突き刺す。 「愚かだな、ダンテ(刀を動かして)――愚かだ。力こそが全てを制する。力なくては何も守れはしない。――自分の身さえもな」 刀を抜き取り、倒れるダンテの首からアミュレットを奪うと、振り返ってダンテの剣を拾い去ろうとする。 ダンテが呻き声を上げて上体を起こすが、バージルはダンテに向き直り胸へ剣を突き立てる。そこへアーカムが。 「手に入れたかね」 「ああ――これでスパーダの封印は解ける」 直後、ダンテが再び起き上がりバージルに殴りかかる。刀で防ぐバージル。右拳に刃が食い込んでスゲー痛そう。 「お前の中の悪魔も目覚めたようだな」 ダンテは刀を掴み、持っているバージルごとぶん投げる。切りかかろうとするバージルをアーカムが制する 「待て、ここは退くべきだ。既に目的は果たしている」 とアーカムが言って、二人はテメンニグルから飛び降りていく。ダンテは虚ろな目でフラフラと歩いた後、咆哮を上げる バージル(三回目) 穴に落ちて行ったフォースエッジは地面に突き立ち、それを追って降りてきたダンテとバージル。(地下鍾乳洞みたいな所。近くに滝がある) 一瞬先にフォースエッジを手にしたバージルはダンテの持つアミュレットを見て言う。 「それを渡せ」 「イヤだね、自分のがあるだろ?」 ダンテはアミュレットを隠すように手を後ろに回す。剣を構えるバージル。 「二つ揃わなければ意味が無い」 「そんなに力が欲しいのか? 力を手に入れたって父さんにはなれない」 「貴様は黙ってろ!」 バージルが斬りかかり、ダンテも剣を振り下ろす。互いの掌で相手の剣を受け止める。 「俺たちがスパーダの息子なら――受け継ぐべきはその力(英語だと血)じゃない。もっと大切な――誇り高き魂だ!」 バージルを弾き飛ばすダンテ。 「その魂がこう叫んでる。“あんたを止めろ”ってな!」 「HAHAHAHA,悪いが俺の魂はこう言っている。“もっと力を――!”」 「――双子だってのにな」 「双子――そうだな」 戦闘開始。 敗れたバージルは片膝をついて呟く。 「俺が――負けるのか」 「どうした、それで終わりか? 立てよ。あんたの力はそんなもんじゃない」 某拳王のように「んぬうううっ」と立ち上がるバージル。 すると突如周りが大きく揺れ始める。 「人間界の扉が閉ざされようとしている――アミュレットが別れたせいか――」 「終わりにしようバージル。俺はあんたを止めなきゃならない――あんたを殺すことになっても」 互いに剣を構え走り出す。そして、すれ違いにバージルの腹を薙ぎ斬るダンテ。バージルは体勢を崩して剣を放り出し、落ちたアミュレットを拾い上げ、 「これは誰にも渡さない――! これは俺のものだ。スパーダの真の後継者が持つべき物――」 背後の滝に退がっていくバージル。近付くダンテの首に刀を突き付ける。 「お前は行け。魔界に飲まれたくはあるまい。俺はここに残る。親父の故郷の、この場所に――」 バージルは後ろに倒れ、手を伸ばすダンテの掌を剣先で払って落ちて行く。 残ったダンテは地面に刺さったフォースエッジを抜き、歩き出す。 83名前:デビルメイクライ3[sage]投稿日:2006/03/20(月)15 03 33ID gopGNseR バージル(二回目) 封印に自分の血と二つのアミュレットを捧げたのに何も起きず、イラつくバージル 「ご機嫌ナナメみたいだな」 「――ダンテ」 「母さんのアミュレットが封印の鍵とはな――うまい事考えたもんだ。悪趣味な親父だぜ」 「正確に言えば――鍵だったものを人間に渡したんだ」 「まあそんなことはどうでもいいさ。大事なのは俺がここまで来たって事だ。(剣を向け)もう1ゲームといこうぜ!」 「いいだろう、お前もスパーダの血族――お前を殺して血を捧げるとしよう」 バージルはさっき殺したベオウルフの具足を装着する。スパーダの血族を殺すためにスパーダの血族に使役されるベオウルフカワイソス その後結局、剣と刀で斬り合う二人。さらにレディも乱入。 「お嬢ちゃんの出る幕じゃないぜ、引っ込んでな」 「黙れ! (バージルに向かって)お前が父さんを操って――」 「本当にそう思っているのか? ――愚かな女だ」 そしてダンテとバージルが互いに傷を負わせると、拍手しながらピエロ(アーカム)が現れる。 「ブラボー ブラァボーッ! こーんなにウマくいくとは思わなかったね!」 ピエロにバズーカを向けるレディを 「いけない子だねメアリ」 そう言って吹っ飛ばす。 「後でパパからお仕置きしてもらいなっ! よーし俺もスパンキングしちゃうぞー」 「道化が! 何処から入り込んだかは知らないが――貴様は場違いだ。消えろ!」 斬りかかったバージルの刀を白刃取りするピエロ。 「おーっとアブネー! でもチョー弱ってるみたいだね、バージル? 絶好調なら俺をズタズタにできたのにさっ!」 「貴様――!」 バージルはピエロに殴り飛ばされ、気を失う。 「(アーカムの声で)お前の敗因は――(バージルを吹っ飛ばす)人間を甘く見たことだ(アーカムに戻る)」 「何が起こったの――?」 「素直なところは母親に似たな。――実に操りやすい」 「!」 「(ピエロになって)さあお尻ペンペンの時間だ!」 レディの頭を床に叩きつける。 「何故封印が解けなかったか分かるかい、んーバァァァジル? 二つのアミュレットにスパーダに血、必要な物はぜーんぶ揃えたのにさ!」 「俺よりおしゃべりな奴は嫌いなんだ」 ダンテが銃を乱射するがピエロには当たらない。 「怪我人なんかゼンゼン相手にならないんだよ! 今の俺でも――(ダンテを踏みつける)この通り! ha-hahahaha!(アーカムに戻って)鍵はもう一つあったのだ。それは巫女の血だ」 バズーカに付いてた銃剣でレディの太腿を刺し、血をテメンニグルへ捧げる。 「(ピエロになって)メチャ苦労したぜ! 途中で誰かがおっ死んだら計画が台無しになっちまうわけよ そこで、互いが弱りながらも、無事ここに来れるように案内したってわけさ。こーんなおバカちゃんにまで変装してね! hahahahaha! ――さあおネンネの時間だメアリ。ママの所へ連れて行ってあげよう。ha-hahahahahahaha!」 ピエロが背中を見せて笑っている隙に、レディはバズーカ拾い上げピエロに向ける。 「wow」 「やってみな」 さらに、ダンテとバージルも剣を突き付ける 「道化は退場の時間だ」 「ショーは終わりってことさ」 「(アーカムに戻って)なるほど。だが忘れていないかね? 既に封印は解かれたのだ。次に何が起こると思う? ――来たれ混沌」 テメンニグルが起動し、床がせり上がって行く。振動でダンテたちの体勢が崩れた瞬間、アーカムは三人を蹴り飛ばし、床から落とす。 「そこで見ているがいい、新しい神の誕生を。スパーダの力は、私の物だ!」 (バージルはせり上がって行く床のまわりに出来た割れ目に落ちて行った) 106名前:デビルメイクライ3[sage]投稿日:2006/03/21(火)23 18 36ID PkSz4+kT 102 >もうタイトル別一覧の方に移されたみたいだから ああホントだ。無駄な心配だったか。 ちなみにwikiに (店の名前「DevilMayCry」はレディがダンテに言ったセリフ「Maybesomewhereoutthereeven a devil may cry when he loses a loved one,Don t youthink?」 (なくしてしまった大事な誰かの為に涙を流せる―――そういう悪魔がひとりくらい、いてもいいと思わない?)から とあったけどこの前後に、 「――泣いてるの?」 「――雨だよ」 「(掌を上に向けて)降ってないみたいだけど」 「(レディに背中向けて)悪魔は泣かないものさ(Devilnevercry)」 「(上記のセリフ)」 「――かもな」 こんなやりとりがある。ま、無駄ついでに。 107名無しさん@お腹いっぱい。sage2006/03/21(火) 23 25 54 ID PkSz4+kT ああそうだ。さらについでだけど、スペシャルエディションには追加ストーリーなんかはナシ。 アーカムがバージルに協力を申し込むシーンと、バージルがバッサバッサと敵を斬っていくムービーがあるくらい(どちらも短め)。 他は、ダンテのステージをバージルで進められるってのと、サバイバルモードのブラッディパレスが追加されたってくらい。 これ以降ガチンコ省略しない編 本当に長いので「我こそは真の長文スキー無双よ!」という方以外は あんまお勧めしません。まぁぶっちゃけデカイオマケという位置づけで ではどうぞ 吸い込まれそうな満月の下、絶え間なく降る雨を剣戟の響きが切り裂いていた。 そぼち降る雨音のように陰々と、女の声が問いかける。 「スパーダの伝説、聞いた事あるでしょ?」 奇妙な装飾の施された石柱が居並ぶ中、石畳に溜まった水を跳ね散らし、人影が跳躍した。 「小さい頃、父がよく聞かせてくれた。昔、一人の悪魔が人間のために戦ったって」 水滴が、振り抜いた大剣の峰で弾ける。 「そして剣の力を使って魔界を封じ込めた―――自分の強大すぎる力と一緒にね」 月光に躍る影が、もう一つ。 「信じてなかったわ。おとぎ話だと思っていたの」 ふたつめの影は見事な体捌きで身を捻りながら、掲げた刀を袈裟懸けに斬り下ろした。 「でも伝説は本当だった。スパーダは実在したの」 驟雨のもと、激しい斬撃の応酬を続ける二人の若者の姿が瞬く雷光に浮かび上がる。 「どうして分かったか?スパーダの息子に会ったからよ。二人の息子にね」 無骨な大剣を構えたラフな赤いコートの青年と、 細身の日本刀を操るフォーマルな青いコートの青年。 服装や武器の違いからか受ける印象こそ違なるものの、 二人の青年の、同じように濡れそぼった銀髪の下の顔は鏡で映したように瓜二つで、 おまけにその身のこなしの端々までもが鏡映しに同じなのだった。 「二人は血を分けた兄弟のはずなのに、殺し合いのような戦いを続けていた」 幾筋もの剣閃が火花を散らしながら空を疾ったのちにがっきりと二人の剣が噛み合うと、それまで彼らに弾かれ続け、 地面に落ちる事を許されず宙を遊び続けていた雨粒が、豪雨と化して辺りに一斉に降り注いだ。 「仲の良い兄弟喧嘩のようにも見えたけれど」 熾烈を極める鍔迫り合いにぎりぎりと悲鳴をあげ、煙さえ上げる二本の剣を間に、二人は暫し睨みあっていたが、 刹那の隙を突いて青服の青年が相手の剣を跳ね上げた。 回転しながら天高く舞い、落ちてきた大剣の磨き上げられた刀身に、不意をうたれて思わず無防備な姿勢のまま 自失してしまった赤い服の若者と、この機を逃さず冷酷に刀を引きつけた青い服の若者の姿が映り込み――― 一拍の後、青い服の青年は、自分と同じ顔をした敵の腹を刺し貫いていた。 石畳を叩く雨滴に赤いものが混じる。 お互いに荒い息を吐きながら、再び二つの視線が交錯した。 一方の瞳は激しい苦痛に時折歪み、もう一方は相手をただ冷たく見下ろしている。 「結局―――」 そして勝者は敗者の腹から情け容赦なく刃を引き抜き、 「生き残ったのは一人だけ」 赤い服の若者は一瞬大きく身体を泳がせて、後はそれきり硬直したまま水しぶきを上げて石畳に倒れこんだ。 青い服の若者は暫し額に片手の指先を這わせ、何やらもの思わしげな風情だったが、すぐにその考えを振り払うように そのまま濡れた前髪を掻きあげる。 そうすることで彼の印象に、より一層の凄みと酷薄さが加わったように思われた。 幅広の大剣を手に、先刻までのその剣の持ち主のもとから立ち去ろうとしている青い服の青年の背後で、 石畳に大の字になった「死体」の指先がぴくりと動く。 最後の力を振り絞ったか、それとも背中まで貫き通す刺突が致命傷ではなかったとでもいうのだろうか? 後者だとしたら赤服の青年は到底人間ではないが、それならば彼と同じ顔をしたもう一方の青年もまた同様だった。 後ろに目が付いてでもいるかのような反応の良さで出し抜けに振り向くと、この上なく往生際の悪い相手にとどめを刺すべく 大剣をたずさえて躍りかかる。 なすすべもなく一杯に見開くのみのアイスブルーの瞳に、死にぞこないに与える「とどめ」にしては余りにも苛烈な速度で 突進してくる姿が逆さ映りに迫ってきて――― 肉を貫く厭な音を、けたたましいベルがかき消した。 どこからか水音が聞こえる。 古ぼけた机の上で、今時珍しいダイヤル式電話が見た目を裏切らないレトロな呼び出し音を部屋中に鳴り響かせていた。 数回コックを捻る音、それで水音は止んだが、かえってそのせいで電話のベルがより一段と耳障りになった感じだ。 と、部屋の奥のドアを乱暴に蹴り開けて銀髪の若者が現れた。 どうやらシャワーを浴びていたようで、半裸のまま、湯気の上がる頭を手櫛でわしゃわしゃと引っ掻き回している。 拳銃、ピザ、写真立てという、非常に如実に持ち主の性格を象徴しているグッズが載った机の端で 今だ電話は喚き続けていたが、彼はいっこう頓着する風もなく悠然とした歩みで机の前までやって来ると、 その足元に転がっていた、机と同じく良く言えばアンティーク仕様、悪く言えばオンボロの椅子を思い切り蹴飛ばした。 くるくると回転して正しい位置に収まった椅子に勢いよく腰掛け、若者は机の上に行儀悪くどかっと両足を投げ出す。 衝撃で跳ね飛んだ受話器をタイミングよく宙でキャッチ。しかし 「悪いがまだ開店準備中だ」 そっけなくそう言うと、彼はぽい、と受話器を放り投げてしまった。 (適当に放り出されたように見えた受話器は、けれども見事に元の位置に納まった) 「まだ店の名前も付いてねえってのに、気の早い客もいるもんだな」 苦笑しながら紙皿の上からピザを取って一口かじり、彼は正面の入り口に向かって皮肉げに問いかけた。 「あんたもそのクチか?」 ドアを開け、入ってきた「気の早い客」―――ひょろりと背が高く、禿頭で、聖職者風の黒づくめの服を身に纏っていて、 聖書のような分厚い本をうやうやしげに胸元に抱いた男―――は、不躾な問いにただ沈黙を返したが、 それは意味不明なことを突然話しかけられて面食らっていたから、という訳ではなさそうだった。 天井で空調ファンが微かにきしみながら回転している。 「シャワー借りたいってんなら勝手にしな。トイレも裏にある」 招かざる客に鼻を鳴らし、若者が投げやりに声を投げたが、男はそれに答えずふいと身を翻すと、 部屋の隅に置かれていたビリヤード台に指を這わせながらゆっくりと歩きだした。 歩きながら、低く深い声で問う。 「君が―――ダンテかね?スパーダの息子だとか」 「どこでそれを聞いた?」 ダンテと呼ばれた若者は、眉を寄せ、僅かに表情を険しくしたが、 「君の兄上から」 男はあっさりと答え、彼の前に立った。 口の中に残ったピザを咀嚼しながら胡散臭げに首を傾けるダンテの胸元に、青と赤、左右で色の違う男の奇妙な瞳から、 粘りつくような視線が向けられる。 そこには銀の台座に赤い宝石をはめ込んだ、美しいアミュレット(護符)が光っていた。 「招待状を渡したいそうだ。是非受け取って頂きたい」 そう言いつつ、掲げた男の右手にはしかし何もない。 無言のままダンテが睨むような視線を、掲げた時と同じくゆるゆると下げられた男の右手から男自身へと移した刹那、 さりげなく天板の下に滑り込んだ男の指が、机を軽々と跳ね上げた。 一見して相当な重量があるとわかる古い机にかけられた力が相当に常識外れなものであった事は、 それが高く跳ね上がることもなく、まるで空中に横軸でもあるかのように低空できりきりと何回転もした後 横倒しになったことからも明らかで、枯れ枝のように痩せたその体のどこに一体それほどの力があったのか、 奇妙を通り越して異常としか言いようがない。 一方男にスパーダ……伝説の魔剣士の息子かと問われた青年の方もまた、人間離れした身体能力の高さを示す事で その問いに対する答えを言外に返していた。 宙で膝を抱えて体勢を整え机の腹に難なく着地すると、同じく宙に舞っていた拳銃を掬い取り、 水平に構えて素早く狙いを付ける。 だが、彼の指先が引金を引く事はなかった。 男は忽然とその場から姿を消していたのだ。 反応が人間離れしているのは平常時にも言えるらしく、常人ならしばし薄気味悪さの余韻にさいなまれる所を、 ダンテはざっと部屋の中を斜めに見渡しただけであっさり銃を皮パンの背中に突っ込んでしまった。 「招待状ね」 苦笑交じりに呟くと、すとんと床に飛び降りる。 左の掌をウェイターよろしく天井に開くと、一拍遅れてピザの平箱が降ってきた。 紙皿からピザを拾い上げ、彼は無作法にも下からかぶりつこうと大口を開ける。 が、次の瞬間…… 空間がガラスのように切り裂かれ、現れた無数の大鎌の刃が八方からダンテの身体を貫いた。 彼の姿は黒いローブに包まれた骸骨の群れに殆ど埋まり、足元には血の池が出来ている。 悪魔たちの携える大鎌に辛うじて支えられ、最早その動きにあわせてふらふら揺れる事しか出来ない 不恰好な操り人形と化した犠牲者の顔を、彼の正面に立った一匹が、赤く光る瞳で覗き込んだ。 だが、半瞬の後、死神は圧倒的な力で吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる事になる。 憑り依であった砂塊に還った仲間を見た後に、一斉に降り向けられたうつろな赤い視線の真ん中で、 ダンテが衝撃で弾き飛ばされた頭骸骨をキャッチして、ニヤニヤしながら人差し指の先で回している。 全身に折れた刃を突き立てて、彼は髑髏を指先でオモチャにし続けながら平然と歩き出した。 鎌の先が抜けなかった間抜けな一匹が背中で引きずられ、腹で床を掃いていたが全くの知らん顔だ。 いや、やはり邪魔には違いなかったのか、そのまま数歩歩いたのちにやおら踵でそいつを跳ね上げると、 右手から左手に持ち替えた髑髏を後ろも見ずに投げつけた。 砂を撒き散らしながら悪魔は落下し、床で更に数匹を巻き込んでまたぞろ砂の飛沫が上がる。 次に彼は身をかがめると、床に跳ね飛んでいた拳銃……ではなくその先にあった平箱からピザを掬い、 部屋の一隅へと歩いていく。 戸惑ったように彼の背後を付いてきていた、悪魔たちの中の一匹が脇から飛びかかろうとしたが、 ダンテはやっぱりそれを見もしないで胸に刺さっていた刃を引き抜き、頭上に向かって放り投げた。 何かが断ち切られる音。 直後に天井の空調ファンが落ちてきて、またしても何匹かの悪魔が砂に変わった。 そして刃を投げつけた人さし指を高々と天に向けたまま、ダンテは唸るように言い放つ。 「イカれたパーティーの始まりか……派手にいくぜ!」 それから彼はスイッチを押した。 が、ジュークボックスはあるじのもったいぶった前振りを完全に黙殺した。 二度、三度。再生ボタンを押すが、ランプはしっかり点る癖にかすかな音すら聞こえてこない。 求めには常に忠実であるべき電化製品の反逆を、彼の短気な主人は決して許さなかった。 反応が無いのを見て取るや、にやりと不気味な笑みを浮かべておもむろに体を引く。 しかる後に気合一閃、ダンテは渾身のチョップを操作盤に叩き込んだ。 物分りの悪い家電もこれには白旗を揚げざるをえない。 ショートした機器が立てる小さな稲光と白煙がくゆった後、かすかな作動音がして 室内は凶悪なまでのロックの響きに充たされた。 それに呼応するように空間が割れ、新たな悪魔が次々と姿を現す。 背後の様子も知らぬげにダンテは前奏のドラムに合わせ、気分よくリズムを刻んで銀髪を揺らしていたが、中の一匹が 大鎌を掲げて飛びかかってくるとひょいとピザをくわえ、合の手を打つように身体を翻した。 彼が一撃を加えると、徒手空拳にしては異様なほど易々と、敵の体が両断される。 全身に刺さった鎌の刃を逆手にとって、それで相手を切り裂いているのだ。 そうやって幾匹かを倒した後に、彼は足の刃を前の一匹に引っ掛け、後ろ足で天井近くにまで蹴り上げると 背後の一匹の喉に手首の刃を突き刺した。 そいつが動けないでいる内にくわえたままだったピザを一瞬で口内に押し込み、 落ちてきた奴を蹴り飛ばす。敵を縫い止めた腕の刃を引き抜き、再開された一撃を大きく身体を反らせつつ 腰から素早く抜いた銃で振り向きざまに受け流した。 武器を振り切って無防備になった相手の頭に銃口を突きつけた時には、彼の体中に突き刺さっていた刃は一つ残らず 敵を砂に変えながら叩き返され、その痕さえもきれいサッパリなくなっていた。 後ろをちらりと振り向いて、そこに鎌を振りかぶった悪魔の姿を認めたダンテは、軽々身長分もジャンプしてそれをかわししな、 バランスを崩して前のめりになった敵の背中を踏みつけた。 「Comm on!」と銃を持った手で手招きするや床を蹴り、悪魔の身体をスケートボード代わりに滑り出す。 進路上でさっき拾わなかった双銃の片割れをサルベージすると、部屋中に銃弾の雨がバラ撒かれた。 悪魔どころかビリヤード台さえも無差別射撃の的になり、片足が欠けて台上に並んだ球が跳ねる。 丁度よく斜めに傾いだそれをジャンプ台代わりにしてダンテは宙へ飛びあがり、全身を擦られた悪魔は天井に激突して 砂煙になった。 乗り手の方はと言えば床のビリヤード台の上に思いっきり体重をかけた着地を決め、台の端に乗っていた敵が シーソーよろしく入れ替わりに跳ね上げられて二つ目の天井の汚れになる。 直立した台から放り出された球の一群が、ダンテの背後から前方へ向かって飛んでいく。 白い手玉が眼前を行き過ぎるのを見て、彼は悪戯っぽく唇を歪めると、銃口を軽く上げた。 直後に飛び出した弾丸がキューの代わりとなり、乱反射する色とりどりの球が敵の一群を砂に返す。 同じく宙に跳ね上げられていた、台の端に乗っかっていた彼の剣、リベリオンが主に呼ばれたかのごとく飛来したのを掴み取ると、 ダンテはくるりと身を捻り、横一文字になぎ払った。 小気味いいほどの切れ味のよさで両断されたビリヤード台を蹴り飛ばす。 それぞれが壁に激突し、その下で、もう何度目になるか分からない砂煙がさらさらと音を立てた。 これほどまでに暴れても悪魔の数はまだまだ尽きることがない。しかし――― 「さて―――そろそろ始めるか?」 彼を囲んで大鎌を掲げ、不気味な哭き声を上げる悪魔達を尻目に、ダンテは不敵に笑うのだった。 激しい戦闘の余韻のように、ゆらゆらと天井で揺れていたシーリングファンがついに力尽きたか落下して、 砂まみれの床を叩いた。 耳が割れそうなやかましい音の残響が消えると、静まり返った室内に残されたのはかすかな響き、 横倒しになったままの机に浅く腰を引っ掛けたダンテが、床に立てたリベリオンの柄を指先で弾いている音だけだ。 暫しの間、ダンテはそうやって気だるそうに大剣を玩んでいたが、ふと横目に何かを捕らえると瞳を見開き、 剣を掴みなおすと腰を上げた。 彼が目に留めたのは床に落ちていたピザの箱なのだが、ひょっとしなくてもそのまさかで、 どう考えても砂でジャリジャリのそれを食べる気満々らしい。 心なしか嬉しそうな表情で歩み寄ると腕を伸ばしたが、残念ながら砂入りピザが彼の口に入る事は無かった。 伸ばした腕の先で、カギ爪のついた足がピザを紙皿ごとべちゃりと踏み潰す。 出遅れた悪魔はご丁寧にぐりぐりとピザを踏みにじった上で勢いよく鎌を振り下ろしたが、当然即座に銃声が響き、 彼は床に散らばっている先達の仲間入りを果たした。 さすがに足蹴にされた物まで食べる気はないようだ。 薄く煙を吐いている銃をしまうと、ダンテは壁に引っ掛けてあった真っ赤なコートを手に取った。 一振りした後肩に掛け、そのまま足を出口に向ける。 数歩を行くとハンガー代わりの剣が外れて、床でわびしい音を立てた。 それに一旦振り向いて、ダンテは小さく苦笑する。 部屋の中は見る影もない。ありとあらゆる調度品が壊れてガラクタの山だ。 「なるほどね……楽しいパーティになりそうだ!」 言うなり彼は力まかせにドアを蹴り開ける。観音開きの扉は蝶つがいが吹っ飛び、砂煙を上げつつ回転しながら スラムの瓦礫に突っ込んだ。 そう、砂煙だ。扉の外は案の定、砂から生まれた悪魔の群れに埋め尽くされていた。 集まってくる敵を睨みつけると、ダンテは事務所の前庭へと足を踏み出した。 一部舗装が剥がれた、灰茶けたコンクリートタイルの上で振り返り、被害状況を視認する。 外観もこれまた凄い事になっていた。柱はヒビが入ったり欠け落ちたり、壁なぞは片側の外装が完全に崩落している。 「ひどいな。店が台無しだ」 ダンテはぎりぎりと唇を噛み締めた。 「……名前も付けてなかったのに!」 鎌を振り上げ、小躍りしている悪魔の群れに低く唸りながら向き直る。 「弁償してもらおうか」 言うが早いか、彼は左手の大剣を上空へ向かって放り投げた。 肩のコートを剥ぎ取るとグルグル振り回し、更にターンまでしながら闘牛士のようにと言うか、ヌンチャクのようにと言うか、 とにかくムダに格好つけながら翻して装着すると、背中まで見えるほど、豪快に裾を払う。 更に丁度良くきゅるきゅると落ちてきた剣を宙で拾い、切っ先を返して地面に叩き付けた。 ……そこまでは良かった(?)のだが。 裾を払った時に盛大に上がった砂埃のせいか、それともそもそも風呂上りに半裸で大暴れしたのが良くなかったのか。 端的にどうなったのかと言うと、彼は不意に顔をしかめ、 「……はぶしゅっ」 なんとも間の抜けたクシャミをかました。 途端、背後で不吉な轟音が響き、背中にイヤな砂嵐が吹きつける。 ゆるゆると、振り返ってみる。大惨事になっていた。 これまでは物凄く希望的な観測をすれば、営業や、生活をしようと思えばひょっとしたら出来ない事も無い ……かもしれない。位の状況だった。 だがこうなってしまっては、もうどうしようもない。 何せ玄関の石柱が完全に崩れ、それに支えられていた石のアーチが入り口を覆い隠してしまっている。 どころか屋根がそっくり抜け落ちて、青天井と化していた。 要するに、全壊だ。 ダンテは少しの間、初仕事の前に廃墟になった事務所を無言で眺めていたが、やおらくるりと振り向くと 崩壊の犯人たちに剣を突きつけ、前にも増して怒りに震える声で言い放った。 「―――思ったより高くつきそうだな!」 自分も元凶の一人であると言う自覚など、勿論彼にはある訳もない。 きっかけは地震だった。 鳴動ののちに大地に亀裂が走り、その上にあった建物をなぎ倒しながら岩盤が異様なまでに持ち上がる。 あちこちでそれが同時に発生し、巨大な町の一角に、更に巨大な砂の雲が湧いた。 その中心で、爆発が起こった。 否、爆発さながらの勢いで、地下にあった何かが地上に上昇しているのだ。 居並ぶビルを遥かに追い越し、なお高く高く伸びていくもの……それは巨大な石塔だ。 奇妙に捻じ曲がった柱を冠のように戴いた塔の頂上、地に突き立てた一振りの日本刀に軽く組んだ指先を預け、 沈む夕日を傍らに受けつつ下界を睥睨する者がいた。 成長途中に引っ掛けた何台もの大型車を、塔は無慈悲にふるい落としていく。 見渡す限りのビル群が平らに見えるほど高く、そしてそれほどの高さを誇ってなお不安定とは程遠い巨大さ。 地平線の上に何一つ、己より高い物が無い位置で、塔はぴたりと成長をやめた。 両者の遥かな距離。 にも関わらずその人物が誰だか分かるというのか。 「最後に会ったのは一年前だったな……早いもんだ」 ダンテは言って、肩をすくめた。 塔の天辺ではやはりこれほどの距離をものともせず、刀を片手に持ち替えた男が 吹きすさぶ高空の風に青いコートをはためかせ、ダンテをじっと見下ろしている。 前髪を上げ、後ろに流した短髪は銀、表情などカケラも無い冷たい空気をまとってはいたが、 その顔かたちはダンテとまるで瓜二つだ。 同じ顔の男と天と地で睨みあっていたダンテの背後で、狩り損ねた悪魔の最後の一匹、 一際巨大な死神が不意に宙へ駆け上がった。 ダンテは咄嗟に銃口を向けたが、相手が哄笑にも似た叫びを上げながらビルの上を飛び移り、 塔の頂上目指して去って行くのを見ると銃を下げ、くるりと回して仕舞い込む。 そうして彼は塔へ向かって歩き出し、やけっぱち気味に叫びながら両腕を広げた。 「当然もてなしてくれるんだろう?なぁ、バージル!」 歩みを進める彼の先、いつの間にか現われた巨大な魚がゆるりと塔の上空を舞っていた。
https://w.atwiki.jp/etcranking/pages/502.html
wiki予定表 説明 完了報告の7月分を記入していきます。 (ここは編集不可になっています) 予定事項 都道府県ランキング、デザイン修正。(2008/7/28) 主に以下のことを行います。 階層の導入。 ページ名わかりやすく。 関係ランキング表、データ参照元のリンク方法変更。 ランキング表の項目名太字に変更。 赤字見出しを太字見出しに変更 上記のため追加は一時中断。(2008/7/28) 都道府県ランキングを追加開始。予定はこの週末。(2008/7/25) サイトマップ完成(2008/7/25) 芸術部門収集終了(2008/7/24) 2008年04月27日作成開始しました トップページ
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/1199.html
デビル メイ クライ part3-502~504・530・537~538、part5-456~459・474・476~477・504~506・569~573、part8-157~167 502デビルメイクライ04/02/08 18 50 ID btZM3qM6 二千年前、魔族が人間界に侵攻を始めるなか、正義の心に目覚めて悪魔の陣営を離反し 巨大な軍勢にひとり立ち向かった魔剣士スパーダ スパーダは魔帝ムンドゥスを倒し眠りにつかせた スパーダと人間の間に生まれた主人公ダンテは現代において復活したムンドゥスに殺された 母と双子の兄の仇を討つ為、便利屋「デビルメイクライ」を開き、魔族が関わってると思われ るヤバイ仕事を請け負っていた 503デビルメイクライ04/02/08 19 20 ID btZM3qM6 ダンテ:悪魔が恐れる男。現代に蘇った魔剣士の戦闘スタイルは銃&剣 とかいいつつ篭手なんかも使う デビルトリガーを発動させることにより雷の魔人アラストルや炎の魔人 イフリートに変身できる トリッシュ:魔界の人間界侵攻阻止を依頼してきた謎の美女 死んだ母にそっくりだが、人間とは思えない力をもつ ネロ・アンジェロ:ダンテと同じ剣技を使う謎の剣士 ダンテを執拗に狙う 使用武器 フォースエッジ:スパーダの形見の剣。デビルトリガーは発動できない。弱い エボニー&アイボリー:ダンテ自作の2丁拳銃 アラストル:雷の力を帯びた剣 あとはショットガン、水中で使用するニードルガン、グレネードガン、デビルトリガー ゲージを消費して使用する魔界の兵器ナイトメアβなど 剣・篭手と銃は同時に装備できます 504デビルメイクライ04/02/08 19 22 ID btZM3qM6 忘れてた イフリート:炎の篭手 530デビルメイクライ04/02/11 11 55 ID o/0POyai バイクで店に突っ込んできたトリッシュは有無を言わさずに襲い掛かってくる 奪ったフォースエッジで胸を貫いたあげくにバイクを投げつけた するとダンテは「剣?ハハ!銃をくらいな!!」なんて言いながらエボニー&アイボリーで バイクを押し返し胸から剣を抜いた(これくらいじゃ死なないらしい) ダンテの実力を確かめたトリッシュは魔界の人間界侵攻阻止を依頼する 待ちに待った依頼であり、トリッシュの容姿にも心惹かれるものがあるので承諾し、ともに 魔界の扉が開きかけているマレット島へ向かった 537デビルメイクライ04/02/11 14 45 ID o/0POyai マレット島に着いたふたりは別行動をとることになる(このへんの事情は忘れた 古城に入ったダンテが探索してるとマリオネットがいきなり動き出して襲い掛かってきた のであっけなくぶっとばす(基本的に敵は弱いです。ボタン連打でもスタイリッシュになぎ 倒してくれる。中・大ボス以外で死ぬことはまずない。) 大剣がつきたてられているレリーフをしらべるとその剣は意志をもってるかのように動き だし、ダンテの心臓を貫く(またか) 当然のように剣を引っこ抜いたダンテはアラストルの使用者と認められた。デビルトリガー が発動可能になる。はさみで攻撃してくる仮面野郎(ザコです)をぶっ倒しつつ奥に進む 538デビルメイクライ04/02/11 15 00 ID o/0POyai デビルトリガーについて アラストルを装備してると雷の魔人、イフリートなら炎の魔人に変身する 発動には一定量のデビルトリガーゲージが必要で、使用中は徐々に消費されていき0 になると元に戻る。あと強力な技を使うと消費スピードが速くなる 発動中の変化 専用の技が使える 剣(篭手)のダメージが二倍になる 銃攻撃は溜めなくても強力になる(忘れてたけど銃は溜め撃ちができる) 受けるダメージが減る 攻撃されてものけぞらなくなる 敵の防御を無効化する 体力が徐々に回復する など 一言で言えば鬼です 456sage04/03/23 08 30 ID zReNzMpe ダンテは祭壇で手に入れた「裁きの宝杖」を隠し扉にはめ込んだ。 扉に彫られた死をつかさどる裁判官のレリーフが完成し、重たげな音と共に左右に分かれていく。 足を踏み入れたそこは大聖堂だった。 荘厳なオルガンの響きの中、奥にしつらえられた祭壇で浮遊する「獅子のプレート」に手を伸ばす。 と、プレートに掘り込まれた文字が目に入った。 "試練の道を進まぬものに 獅子の誇りを得ることかなわず” 不意にプレートから一条の光が放たれ、背後の扉の封印を破る。 “道を戻り、汝が勇猛さで奈落の底から帰りたまえ さすれば獅子の誇りを授からん” 大聖堂から伸びた空中回廊を進んだ先に記されていた言葉に従って、進んだ道を後戻ったダンテは、 途中で落雷に打たれ、砕けた回廊もろとも海の底へと叩き落される。 海中のダンテに巨大な頭骸骨の群れが襲い掛かる。悪魔「サルガッソー」。獅子の課した試練だった。 457デビルメイクライsage04/03/23 08 42 ID zReNzMpe 群れなす悪魔を打ち破り、大聖堂へと戻る。 プレートを手に入れたダンテ。と、その時。彼の背で、アラストルがかすかな雷光を発する。 次いで背後で膨れ上がった殺気に気付いたダンテが振り返ると同時に、 天井のステンドグラスをブチ破り、巨大な蜘蛛が降ってきた。魔王の腹心、悪魔「ファントム」だった。 「なんだこのチビは?大きな闘気を感じたが…ただの人間か!」 小山のような大蜘蛛の言葉を、ダンテは微塵も臆することなく鼻先で笑い飛ばした。 「なんだ、化け物? 筋肉以外にもちゃんと中身は詰まってんのか?」 あざ笑いながらファントムの太い脚を、確かめるように手の甲でとんとん、と叩く。 「ほざいたな虫ケラ…叩き潰してやるわ!」 高々と振り上げられた、灼熱のマグマを内に抱く脚を、ダンテはそれよりも高い跳躍で鮮やかにかわす。 そして闘いが始まった。 耳をつんざくような恨みの叫びが響く。敗れた悪魔は自らの熱で床に穴を穿ち、逃げさった。 中庭で獅子の像にかけられた封印を、獅子のプレートによって解き、現われた門番―黒猫の姿をした 影の悪魔、シャドウ―を倒す。封印の解かれた東塔、城主の寝室に置かれた憂鬱な顔をした女性の像。 胸元に開いたスリットに塔の最上部で入手した儀式用の剣「死の宣告」を差しこむと、像がくわえていた 装飾品「憂鬱なる魂」がぽろりと落ちた。 床に転がった「憂鬱なる魂」を拾おうと身をかがめるダンテ。その時、再びアラストルがかすかな音を立てた。 458デビルメイクライsage04/03/23 08 53 ID zReNzMpe 魔剣の警告に顔を上げ立ち上がる。辺りを見回すが誰もいない。 油断なく見回しながらあとずさるダンテの背後に置かれた鏡。 彼の背中を映すはずの鏡の中に、何故かこちら向きの彼がいる。 振り向いたダンテの目に、鏡から踏み出そうとする影が映った。 ゆっくりと後ろに下がるダンテと対を成すように、もう一人の彼が悠然と歩み寄ってくる。 唖然と見守るダンテの前で、鏡像のダンテは漆黒の甲冑に身を包んだ魔剣士へと姿を変えた。 「掃き溜めのゴミにしちゃ、ガッツありそうだな」 剣を抜いた悪魔「ネロアンジェロ」に語りかけたダンテに相手は答えず、開いた窓を示すと、 バルコニーから夕暮れの空へ飛び出した。 中庭で二人の剣が激しくぶつかり合う。 弾かれて膝を突いたネロアンジェロに好機とみたダンテは切りかかった。 だが相手はひらりと宙を飛んでかわし、アラストルはむなしく空を切っただけだった。 背後に着地した魔剣士の蹴りに剣を飛ばされ、素手で打ちあうが、不意をうたれたせいで数打も持たない。 回し蹴りで壁に叩きつけられ、崩れ落ちたところを掴み上げられて再び壁に叩きつけられた。 吊り上げられて苦悶にあえぐ胸元から何かが滑りでる。 それ―ダンテの胸で輝くアミュレット―を目にした途端、ダンテを壁に貼り付けにして、 残酷な笑みを浮かべていたネロアンジェロの様子が激変した。 触れてはいけないものにでも触れたようにダンテを放り出し、頭を抱えて荒い息をつく。 苦悶するその姿が青い炎に包まれ、魔剣士はいずこかの空へと消え去った。 459デビル人sage04/03/23 08 55 ID zReNzMpe ここまででミッション3 灼熱の破壊者(DESTROYER OF ARDOR) ミッション4:漆黒の騎士(BLACK KNIGHT)です 474デビルメイクライ(4)sage04/03/24 08 37 ID oFTc6wWD 東塔を一息に駆け下りる。「憂鬱なる魂」を使い、地下通路への扉を開いたダンテは次々と襲い掛かる魔物を 退け、新たな鍵「陽光の導き」を手にした。途端に強力な脱力感に襲われるダンテ。時間と共に体力を奪う鍵に さいなまれつつも再び襲い来たファントムをなんとか退け、城主の寝室へと帰還する。 手にした鍵を陽光のレリーフにはめ込むと、錆び付いた音を立てて隠し扉が開いた。ホールを真下に望みながら 崩れ落ちた渡り廊下を飛び越え、錬金術の間を抜けるとホールの屋上に出た。 ステンドグラスの床を通り過ぎ、開いた鉄格子に近づく。 しかし格子に辿り着く寸前、ダンテの目の前で鉄の扉は轟音を立てて落ちた。 一歩、二歩とあとずさる背後で、いやという程聞きなれた、重い足音が響く。 はっとして振り返ればうんざりするくらい見慣れた脚が、城壁を乗り越えるところだった。 476デビルメイクライ(5)sage04/03/24 08 43 ID oFTc6wWD 「休み時間は終わったぜ、坊や!…ガキの遊びはもうやめだ。やりたい放題やってやる!」 地鳴りと共に飛び降りてきた悪魔は、背中に巻き込んでいた長い尾をゆっくりとほどいていく。 憤怒に煮えたぎったファントムの言葉に、ダンテが怯むことは全くなかった。 それどころか寧ろ嬉々として両腕を広げ、眼前に叩きつけられた蠍の尾に向かって挑発しさえしてみせる。 「やれよ、マジな遊びをしようぜ!」 そして、死闘の幕が切って落とされた。 戦いは意外な方向で決着した。 雲突く巨体の重みに耐え切れなくなったステンドグラスが破れ、ファントムは階下に向かって落下する。 疲弊しきった魔王の腹心に止めを刺したのは、魔狩人の一撃ではなく、槍を掲げたホールの騎士像だった。 貫かれた腹からマグマを噴き出させ、ぜいぜいとあえぎながらファントムが問う。 「お前、ただの人間ではないな?…何者だ」 ダンテは答えず、丸く穴を開けたホールの穴からただ冷然と見下ろすのみだ。 が、次の瞬間、その背後に映る「なにか」をみたファントムの声が震えだした。 「まさか…伝説の魔剣士スパーダ…!?そんなバカな」 勝者はにやりと笑い、初めて己の名を敗者に告げた。 「鋭いな。その息子ダンテだ」 断末魔の絶叫を聞きながら、嘲笑交じりの別れのキスを投げる。 「ネンネしな」 ファントムは絶命し、亡骸は瞬く間に灰となって消えた。 477デビルメイクライ(6)sage04/03/24 08 49 ID oFTc6wWD さして面白くもなさげに鼻を鳴らし、ダンテがその場を立ち去ったあと。誰もいないホールに佇む影があった。 「ファントムが負けた…まさかこれ程とは…」 呆然と首を振った影は、長い金髪をなびかせてその場を立ち去った。 前庭で手に入れた「三叉の矛」は城の跳ね橋を上げるための装置の一部だった。 機械に矛を差し込むと巻き上げ機が作動し、外界との間に長い橋が掛かる。 ダンテを渡した橋は何事もなかったかのように元の位置に収まった。 コロシアム前広場で地中から現われた悪魔「ブレイド」をほふり、入場門前庭へ。 空中に浮かぶ台座を見つけ、足場を上り詰めたダンテは台座にゆれる炎が、頭の中に語りかける声を聞いた。 “我が名はイフリート 我を目覚めさせる愚かなる者よ 地獄の業火をその身をもって知れ” 炎は弾け、目にも止まらぬ速さで宙を駆け巡る。 爆発と共にダンテの腕をくわえ込んだ炎は、竜の意匠を施した篭手へと姿を変えていた。 辺りに荒々しい雄たけびが響き渡る。 ダンテは高熱を発する篭手を無理やりにねじ伏せ、その力を手に入れた。 コロシアム前広場に戻ったダンテの頭上に赤い稲光が走る。 一転俄かにかき曇った空を振り仰げば、渦を巻く黒雲の中から長い尾をもつ巨大な鷲が現われるところだった。 外壁に降り立った悪魔「グリフォン」。彼もまた魔王の腹心だった。 「貴様か。ムンドゥス様に楯突くスパーダの息子というのは」 傲然と問うグリフォンにダンテはふざけたように軽やかなステップを踏んでみせる。 「消えな、トリ頭。それとも痛い目見るか?」 怒りに猛り立った叫びが広場に響いた。 504age04/03/25 10 07 ID apzDB6f5 空から地から、ダンテを攻め立てたグリフォンもまた、悪魔狩人の前に屈し、逃げ去らざるを得なかった。 置き土産代わりの赤い稲妻が消えぬ内に炎を宿したダンテの拳が閃き、広場の門が開かれる。 霧にかすむ渓谷を、漂う不思議な明かりを頼りに抜け、植物の生い茂る、巨大な温室庭園へ辿り着いた。 庭園で手に入れた「純潔の証」を水上回廊の祭壇に捧げる。 封印の解けた「聖杯」を手に取った途端、背後で扉がふさがれ、頭上に稲光が閃いた。 運命にも似た予感を感じながらゆっくりと振り返る。 回廊に現われた魔剣士が大剣を掲げ、ダンテとの対決を待っていた。 二度目の対決で膝を折ったのは、最初の対決での勝者だった。 辛くも勝利したダンテを後に、魔剣士は稲妻と共に消え去った。 「聖杯」を「騎士像」の前に掲げ、地下水脈への道を開く。地下の洞窟に浮かんだ幽霊船。 船守りを倒し、出航する。 復讐に猛り現われたグリフォンとの再戦を制し、船長室で入手した「ヘルメスの杖」を手に 激戦の衝撃で沈没した船内から脱出。打ち寄せられた島の裏手から滝壺を抜けると、古城の外壁に出た。 505デビルメイクライ(8)sage04/03/25 10 11 ID apzDB6f5 裏門の鍵を開け、コロシアム前広場へ。途中で手に入れた「小さな楯の紋章」と引き換えに闘技場の扉を開く。 「対なる二槍」を得る。地下の小部屋から出たダンテを、闇夜が包んだ。 悪魔狩人の血を求めて集まってきた魔物たちを「魔光石」の明かりが照らす。 闘技場の中央に書かれた巨大な魔方陣が、ダンテの中に不思議な声を響かせる。 “コロシアムに生贄を捧げよ 贄の儀は運命の輪へと道を繋ぐ” 漆黒の夜空にそれよりなお黒い暗雲がたちこめ、激しい雨が降り出した。 雷雲の中に、それを裂こうとうごめく影がある。 度重なる敗北に誇りを砕かれ、最早退く事の出来なくなったグリフォンだった。 片翼を折り砕かれた巨体が魔法陣の上で地響きを立てる。 石柱に心臓を貫かれ、生贄として大地に捧げられた巨鳥は、それでもなお敵に向かってあがき続けた。 「偉大なる我らが主よ。我に力を与え給え、この者を倒す力を!」 虚空に溶けるかと思われたグリフォンの叫びは、しかし暗雲の中に稲光を呼び、激しい渦を巻き起こした。 渦の中に現われたものをみて、ダンテの表情がありありと、劇的なまでにこわばる。 「おお、ムンドゥス様」 渦の中、浮かぶ赤い三つ目にグリフォンは嬉しげに語りかけたが、その期待は無残に打ち砕かれた。 苛烈きわまる雷の鞭が放たれ、凄惨な絶叫が上がる。 無慈悲な主の制裁が、戦う力を失った哀れな下僕を跡形もなく焼き尽くした。 506デビルメイクライ(9)sage04/03/25 10 17 ID apzDB6f5 「あの、三つ目…」 呆然と呟く背後に電光が瞬き、トリッシュが現われた。 「勝ったの?大したものね」「ムンドゥス」 今のダンテの耳に、しかし賞賛の言葉は届かなかった。 硬く握りこんだ拳の内には、母の形見、赤いアミュレットが光っている。 「汚ねぇ事しやがる。自分の仲間を虫ケラのように!」 さっきまでの敵にかける言葉とも思えず、面食らうトリッシュ。不審げに瞬く瞳の前で、ダンテは小さく俯いた。 「俺の母親と兄弟のときもそうだった…母の話を思い出す。弱者のために戦った―勇気ある父の話を」 振り返った瞳には強い決意が宿っていた。 「父の名に誓って、奴に死を!」 569デビルメイクライ(10)sage04/03/28 05 19 ID LJ/eq2HS 前回までのあらすじ:悪魔は何時間水に潜ってても平気。(ちなみに水中では主観視点。ガンコンゲーみたいな) 後(7)の一行目分りにくいですね。 片側だけに炎がともった扉のもう片方をイフリートで殴ると扉が開く。そういうしかけ。 一条の雷光と共に、無言で姿を消すトリッシュ。ダンテは城の前庭へと戻った。 上がったままの吊り橋を対岸に望みつつ、グリフォンの魂を贄として手に入れた「運命の輪」を 足元の石碑にはめ込む。直後、輪から放たれた閃光が橋のたもとを撃ち、吊り橋はダンテの前で 地響きを立てて横たわった。 暗闇に浮かび上がる夜の古城に再び足を踏み入れたダンテ。 城の内部は、以前とは全く異なる様相を呈していた。 城内に満ちる瘴気の影響か、あちらこちらで扉が消え、迷うダンテの前に、その血をすすろうと 更に強力な悪魔が立ち塞がる。玄関ホールの巨大な彫像が消えている事を不審に思いつつも、 魔光石のかすかな明かりに照らされた廊下を進み、大聖堂へ。 その中央には、以前にはなかった奇妙な水溜りがある。 覗き込むと鏡のように透き通った水が、頭の中に声を響かせた。 “魔への門を開かんとする者よ 青き霊石の力を借りよ” 言葉の意味を反芻する間もなく、巨大な何かが水鏡の中からせり上がってくる。 宙に飛び出したゲル状の物体が床一面に広がる。魔界の生物兵器、「ナイトメア」だった。 570デビルメイクライ(11)sage04/03/28 05 24 ID LJ/eq2HS 大聖堂の四方に配置された魔方陣を切りつけ、光を灯すとナイトメアの液状の身体を固定し、 ダメージを与える事が出来る。気付いたダンテの剣が一閃、魔界の兵器は地面に熔け、消えた。 砕けた空中回廊を飛び渡り、先端に描かれた杖のレリーフに、幽霊船で入手した「ヘルメスの杖」を 掲げると空だった両脇の額の内が渦を巻き、その表面に二つの風景を映し出した。 一見それは油絵のようだが、よく見ると表面が水のように波立っている。 絵の中に飛び込んだダンテを禍々しい気を放つ古城の衛兵室が迎えた。 螺旋階段を上り、古城の三階へ達したダンテは、そこに飾られた額の中で渦巻く油絵を再び目にする。 迷う事無く飛び込むと、そこは月夜の闘技場。 冷気を纏った悪魔「フロスト」が、研ぎ澄まされた爪を突きたてようと一斉に飛び掛ってきた。 闘技場を抜け、絶え間なく鳴り響くいかづちをBGMに、群れ集う悪魔を切り捨てながら進む。 別れ道の一方は、巨大な博物館。 “行く手を阻みし冥界の竜 剣で勇気の証を見せよ 竜は自らの炎で滅ぶだろう” 傍らの石碑に目を留めたダンテの鼻先すれすれを、一抱えもある火の玉が行き過ぎ、壁で爆発する。 目を凝らすと、奥には巨大な竜の化石が、再びあぎとに蓄えた炎を放とうと待ち構えていた。 心得たダンテがアラストルを閃かせると、跳ね返された炎は竜を撃ち、ばらばらになった化石は 再び眠りについた。 “月の雫は鏡を渡りて珠となる 天上の道を知るものだけが珠玉の光を手に入れる” 石碑にしるされたもう一つの文に従い、ハンドルを操作して鏡の向きを変える。 月の光が走り、二階テラスに集められた光は銀に光る宝珠を生み出した。 テラスへと向かう透明な道は稲光によってのみ姿を現す。 きらめく雷光にあわせて足場を跳躍したダンテは、「月光水」を手に入れた。 別れ道のもう一方を塞ぐ扉に「月光水」をはめ込む。 扉を開き、訪れた豪雷轟く謁見の間。 静かに振り返り、床に刺していた大剣を抜く人影を見て、ダンテの頬が思わず緩む。 敗北に怯まぬ相手に対するものか、それを我知らず喜んでしまう自分に向けたものか。 苦笑にも似たその笑みは、最早復讐に燃える悪魔狩人のそれではなく、好敵手を得た男のものだった。 「マジにガッツあるな。気に入ったぜ。…掃き溜めには勿体ねぇ」 黒騎士は黙して答えず、一旦はダンテに向かって突きつけた剣を、再び床に突き立てると、 何かを迎えるように天に向けて両腕を開いた。 直後、黒い鎧から噴き出した魔力が、奔流となってダンテに向かう。 押し流されかけるのをこらえて数歩を下がり、頭を庇っていた腕を下ろすと、 そこには兜を脱ぎ、瞬く紫電の光に素顔をさらしたネロアンジェロの姿があった。 571デビルメイクライ(12)sage04/03/28 05 32 ID LJ/eq2HS お互いが察していた。これが最後の戦いだということを。 敗北した方がこの世から消える。 厳然たる死の決着によってのみ、三度に渡るこの死闘の勝者が決定するのだ。 雷光が閃き、炎が迸る。ダンテの銃弾は黒騎士の斬撃によって跳ね返され、 空を切って飛来したネロアンジェロの魔力剣は、魔狩人の拳打に叩き落された。 互いが互いの命を求め、持てる技全てをさらけだす。 生死を賭した互角の戦いは、いつ果てるともなく続いた。 ダンテは宙を呆然と見上げ、一歩、また一歩と後ずさる。まるで自分の勝利が信じられぬかのように。 視線の先には、ダンテの死に物狂いの一撃に甲冑を貫かれ、断末魔の苦痛に悶え苦しむ ネロアンジェロの姿があった。身をよじりながら高く浮かんだその体から、黒い魔力の嵐が吹き出し、 次いで降り注いだ激しい閃光が、稲光を圧して辺り一面を真昼のごとく照らし出した。 眩しさに一旦覆った手の平を目の前から下ろせば、もうそこに黒騎士の姿はなく、彼が消え去った虚空から 落ちてきた何かが石畳を叩いて、ちりん、と鳴った。 床に膝を突き、拾い上げる。やや身を屈めたせいで、襟元からアミュレットが滑り出た。 ダンテの胸で赤く光るそれは、握り締めた手の中のものと、同じデザイン。 同じアミュレット。…二つに分かれた形見の、もう一つの片割れ。 “バージル、ダンテ、誕生日おめでとう” 優しい母の声が耳元で響く。歓声を上げて母に駆け寄る子供たちの声。 幸せだった幼い自分と、もう一人の笑い声。 剣を交えるたび、頭の奥で次第にふくらみ、大きくわだかまっていったもの。 今それが、見開かれた目の奥で、一本の線となって繋がれる。 自分と同じ太刀筋。自分と同じ身のこなし。自分と同じ…魔剣士スパーダの武術。 疑問の全てが氷解し、ダンテは唇を硬く噛み締めた。 572デビルメイクライ(13)sage04/03/28 05 35 ID LJ/eq2HS 時を同じくして。ダンテの前から立ち去ったトリッシュは柔らかな白い光が溢れる神殿に佇んでいた。 立ち並ぶ柱の最奥に座し、祀られているのは古城から姿を消したあの巨像である。 「トリッシュよ、バージルが敗北した」 ふいに巨像が口を開き、重々しい声を響かせる。 「するべきことは分かっていよう。さあ、行け!」 荘厳な神殿には似つかわしくない不気味な声に、しかし巨像を見上げたトリッシュはうやうやしく応じた。 「仰せのままに」 新たに油絵が映し出したのは浸水した地下の牢獄。 重力の法則さえ狂った城の中を、ダンテは次々襲い来る悪魔を蹴散らしながら進む。 その手に握られているのは父の形見、「フォースエッジ」。 だがその刀身は禍々しい赤い瘴気を放つ、長槍とも大鎌ともつかぬ長大な剣へと姿を変えている。 これこそが一つに重なったアミュレットの力により本来の姿に戻った魔剣「スパーダ」であった。 階段塔の最上部で発見した卵形の石「哲学者の卵」を内庭のかがり火に投じる。 卵の変成を待つダンテの背後に、じわじわと染み出してくるものがあった。 ナイトメアとの二度目の戦いが始まろうとしていた。 魔方陣の封印が解け、ゲル状に戻った敵を避けながらダンテは再度ナイトメアの肉体の固定を試みる。 液状の時、この魔物に取り込まれれば、己の中の悪夢の空間に飛ばされ、いまだ精神の中に存在する、 かつて倒したはずの難敵達と再び戦わねばならない。 その厄介さは最初の戦いで、身に染みる程思い知らされていた。 不可思議な青い熾火により「哲学者の卵」が変化した「霊石エリキサ」を携えて、回廊先端の油絵から 城主の寝室へと移動する。以前ネロアンジェロが中から現われた姿見。 湧き出てくる闇の波動を感じながらも以前はどうすることも出来なかったそれが今、 エリキサに反応して波打っている。 ためらう事なく鏡の中へ足を踏み入れたダンテを、視界さえ歪む魔の気配が取り囲んだ。 「“魔”は人の世の写し絵でもある。すなわち“魔”は鏡の中にある」 あべこべの世界が放つ圧倒的な瘴気に押しつぶされかけながら、ダンテは城内で見つけた手記の事を 思い出していた。つまり、あの鏡こそが魔界の入り口だったのだ。 573デビルメイクライ(14)sage04/03/28 05 38 ID LJ/eq2HS 城壁中庭にしつらえられた台座から、十二面体のオブジェ「賢者の石」を取り外す。 途端にねじれた世界に狂った哄笑が響き渡った。 掴みかかってきた悪魔「ノーバディ」の包囲網を破り、追いすがるのを叩き伏せ、 何とか鏡のこちら側へと帰り着く事が出来た。しかしダンテは息をつく間もなく大聖堂を目指す。 魔界との最終決着への道が、いまや遅しと彼を待ち受けていた。 先刻ここを覗いたときに脳裏に響いた声。大聖堂に滲む水は、エリキサを求めていたのだ。 その証拠に、聖石に気付いた水“鏡”は、喜びにむせぶかのように波打って、 あっという間にダンテをその内へと飲み込んでしまった。 鏡の中、悪意と殺意の波動が渦巻く世界に再び足を踏み入れたダンテ。 何か生き物の体内めいた奇妙な部屋。骨のような柱が取り巻く床には、虹色の液体がたゆたっている。 これが、魔界の門だった。賢者の石を、眼窩のような台座にはめ込むと、虹色の液体は跡形もなく消え、 門は来訪者を招き入れるように口を開けた。 脈打つ赤黒い血管が走る、気味の悪い洞窟を抜けると広い空間に出た。 辺りを見回したダンテは低く感嘆の声を上げる。 地面も床も、一面が禍々しい赤い呪文の羅列で覆われている。 しかし彼が部屋の異様さに圧倒されて一帯を見渡していたのも、ほんの一時だった。 「ダンテ!」弱弱しい声に弾かれたように振り向く。 「ここよ、助けて!」倒れ伏したトリッシュが、救いを求めて白い腕を伸ばしていた。 「トリッシュ!」駆け寄ろうとしたダンテの足は、数歩も行かない内に急ブレーキをかける。 部屋中の呪文が邪悪な輝きを増し、床を削ってダンテを取り巻いた青い光は彼を閉じ込める堅牢な檻と化した。 トリッシュとの間に壁を築かれ、その内に囚われた事を悟って焦りの色を見せるダンテの背後に、 覚えのある殺気が滲み出す。「贄の儀式の間」が己の役割を果たそうとしていた。 「トリッシュ!離れてろ!」 身を転じ、三度現われたナイトメアを目にしたダンテは、いまだ倒れ伏したまま、不安げな様子のトリッシュを、 結界越しに背後に庇い、不利な戦いに身を投じた。 157デビルメイクライ(15)sage04/05/10 08 58 ID 1lukNIBM 三度に渡るナイトメアとの戦い。またしても勝利はダンテの手中になるかと思われた。 しかし魔方陣で固定された巨大な悪魔に向かって、とどめとばかりに剣を振り上げたその時、 ダンテの全身を激しい稲妻が打ち据えた。 予想もしていなかった背後からの不意打ちに、たまらず地面に倒れこむ。 倒れ伏した彼に浴びせられた冷笑は、思いもしなかった相手の声だった。 やっとのことで身を起こし、膝を突いたまま愕然と背後を振り返ると、 冷ややかにこちらを見下ろす金髪の美女が霞む目に映った。 「無様な姿だな!」 「トリッシュ、まさか、お前?」 ふらつきながらも何とか起き上がり、荒い息の下から問いかける声を障壁越しにもう一度あざ笑い、 トリッシュはついさっきまで助けを求めてダンテへ伸ばしていた腕を、汚らわしげに彼へ向かって突きつけた。 「甘えた人間め、その愚かさを悔いるがいい」 広げた両腕に見る間に雷光が満ち、正体を現した魔帝の刺客は敵意もあらわにダンテへ挑みかかった。 「お前は我々の計画に邪魔なのだ…死ね!」 激烈を極めた二対一の戦い。 しかし彼を追い詰めた卑劣な悪魔の罠も、すんでのところでダンテを打ち負かすことはかなわなかった。 核を貫かれたナイトメアがびくりと身を震わせ、その巨体はみるみる己の作り出したゲル状の海に沈んでいく。 地響きが走り、ダンテを閉じ込めていた光の檻が消滅した。 揺れは大きくなり、ゲルの海が激しく波打つ。 ついで上がった断末魔の絶叫と共に、暴走したナイトメアの魔力が閃光となって一斉に解き放たれた。 辺り一面をでたらめに荒れ狂う魔力の槍を、ダンテとトリッシュは慌てて身をよじり、何とかかわす。 やがて力尽きたナイトメアは立ち上る黒煙の柱となって、消滅した。 158デビルメイクライ(16)sage04/05/10 09 00 ID 1lukNIBM 伏せた地面から顔を上げて、ふと周囲に目をやったダンテは、慌ててがばりと跳ね起きる。 衝撃にぼんやりと立ち尽くすトリッシュの頭上。 閃光によって切り裂かれた巨大な柱が支えを失い、今まさに彼女に向かって崩れ落ちようとしていた。 呆然と辺りを見回していたトリッシュは猛然と駆け寄ってくるダンテに気づき、身構える。 しかし彼女も落ちかかってくるものの気配をすぐに感じ取って顔を上げた。 だがその時は逃げ出すには既に遅く、無駄だと知りつつも咄嗟に腕で頭を庇う位しかできない。 トリッシュの上げた絶望の悲鳴と共に岩塊は地面に激突し、粉々に砕けた。 もうもうと土煙の舞う中、トリッシュは薄目を開けた。 崩れ落ちた岩の柱から自分を救ってくれた男が、彼女の体の上から身を起こす所だった。 彼の行動に驚きながら自分もゆっくりと起き上がる。 彼は服に付いた埃をぞんざいに払うと、後も見ずに立ち去ろうとした。 「ダンテ!」 背中にかけられた声にダンテは立ち止まった。 「なぜ私を助けた?」 横顔だけを向けて、一心に見つめる瞳をちらりと見やる。 暫しの沈黙の後再び首を返し、彼はぽつりと呟いた。 「母さんに似ていた」 一旦言葉を切った後、次にその唇から漏れたのは冷え冷えとした悪魔狩人の言葉だった。 「さあ消えな。次はこうは行かない」 去っていく後姿をトリッシュは呆然と見守っていたがたまらなくなり立ち上がる。 「ダンテ…」 「寄るな悪魔!」 駆け寄ろうとしたがその歩みはわずか数歩で押し留められた。 「その顔を二度と見せるな」 エボニーの照準をぴたりと彼女の眉間に合わせ、ダンテは噛み付くようにして言い募る。 「魂の灯火が消えた、作り物の顔をな!」 かける言葉もなく立ち尽くす彼女を燃えるような目で睨み付けた後、 忌々しげにダンテは銃を下ろし、その場を後にした。 何事を思っているのか、無言で彼が消えた方を見つめているトリッシュ。その背後に赤い三つ目が瞬く。 「失敗したな。掟は知っていよう」 主の断罪の言葉にも、しかし彼女は依然として無言のままだった。 159デビルメイクライ(17)sage04/05/10 09 02 ID 1lukNIBM 洞窟の中心の巨大な心臓。その動脈は奥の大扉に繋がっている。 大扉脇の結晶に切りつけると先刻通り過ぎた、骨で覆われていた小扉の封印が解かれた。 気を抜けば壁から生えた一面の触手に生気を絞りつくされかねない細道を抜け、溶岩の池にそそり立つ岸壁を登っていく。 最奥部の紋章に切りつけると心臓が拍動を始め、それに従って眼下の大扉の封印が次々と解けていく。 足を踏み入れた禍々しい扉の向こうは、予想に反して神々しいとさえいえる白い神殿だった。 …否、今までに通り過ぎてきた道程を考えるとその暖かさも静けさも、全てが邪悪な何かをかえってより強く想起させる。 祭壇に鎮座する巨大な石像の前でダンテは足を止めた。 あの古城からいかなる手段を用いてか姿を消したあの巨像。 以前は気づかなかった禍々しい気配。歴戦を切り抜け、感覚が鋭敏さを増した今ならはっきりと分かる。 その石の巨体に隠された何かが今まさに殻を破って現われんとしていた。 復讐に煮えたぎるダンテの視線を受け、石像が濁った声をごろごろと響かせた。 「再びスパーダの血と対面か。昔を思い出す」 ダンテの背に負った大剣…かつて自分を封印した魔剣士の手にあったその剣を目にしてか、 懐古めいた魔帝の呟きにダンテは彼本来の皮肉に満ちた口調で応じる。 「きっと結末も同じだぜ」 「果たしてそうかな」 低く忍び笑いを漏らした魔帝は、ダンテの背後へ向けて一条の光を走らせた。 不審げに背後へ首を巡らせたダンテは、そこにあるものに気づくや息を呑んで身を転じる。 「トリッシュ!」 壁にはりつけにされた白い体。 力無く垂れた頭はぴくりとも動かず、閉ざされた彼女の瞳がこちらを見ることはない。 「動くな。瞬きしても――女を殺す」 「…貴様!」 血相を変えて魔帝を振り返るダンテ。その体を魔帝の放った赤い光の刃が貫いた。 「ダンテ!」 トリッシュが弾かれたように顔を上げる。彼女は気を失ってなどいなかった。 もがき苦しむダンテを見つめるトリッシュの腕。 厳重に戒められていると思われたその腕には何の拘束もされてはいない。 またしても彼はその身に流れる血の為に罠にかかった。 一度は彼女を救ったダンテの人としての心が、再び彼女の為に絶体絶命の窮地へと彼を追い込んだのだ。 160デビルメイクライ(18)sage04/05/10 09 05 ID 1lukNIBM 「愚かな…それが人間の限界なのだ。スパーダの血も腐ったものだな」 嘲笑と共に地響きが起こり、魔帝の額に魔力を秘めた光が収束していく。 赤い刃に力を奪われ、憔悴しきって立つのもやっとのダンテにはそれを歯軋りしながら見ている事しかできない。 「さあ、死ね!」 勝利を確信した魔帝は光を解き放ち、それは一直線にダンテを襲う。 しかし死の槍が彼を貫く寸前、何者かが彼をその軌道上から突き飛ばした。 直後に光の凶刃がその痩躯を捕らえる。 「トリッシュ!」 愕然と見守るダンテの前で、彼の身代わりとなったトリッシュは全ての力を失い、大理石の床に崩れ落ちた。 「トリッシュ、バカな!」 よろめきながら起き上がり、ふらつく足で彼女のもとへと歩み寄る。 背後の魔帝が忌々しげなうめきを上げた。 「役立たずめ…邪魔をするとはとんだ失敗作だ」 ダンテはその言葉には応えず、もう二度と動かない彼女を無言のまま見下ろしている。 「戦意喪失か?では今こそ因縁の幕を引こう!」 再び収束された死の光がダンテに向かって殺到する。 微動だにしない無防備な背中が光線によってあわや切り裂かれる寸前、不意に彼は身を翻した。 途端に光はあらぬ方向に弾かれ、壁の高所を焦がして虚しく消える。 「いつまでも調子に乗るな」 唸るように低い声を押し出した彼の体から、赤い魔力の霧が立ち上る。 母を殺し、兄の命をもてあそび、そして今、母と同じ顔の女の命を奪った仇敵を見据える瞳は、 内に秘めたその激情が噴き出したかのような濃い真紅に染まっていた。 「出て来い、魔帝ムンドゥス!」 ダンテの声に呼応したように三度地響きが起こる。 石の巨体に亀裂が走り、生じた隙間からまばゆい光がほとばしった。 その身を覆っていた石の殻を振り落としながら姿なき「何か」が雄叫びを上げながら台座から立ち上がる。 見上げるダンテの上に長く伸びた影がかかり、影がその背に畳んでいた翼を広げると 純白に光る羽が螺旋を描いてはらはらと零れた。 魔帝ムンドゥスはついに人間界に真の姿を降臨させた。 ムンドゥスが翼を打ち振り両腕を力強く開くと、体から一息に闇が溢れ出し、 ダンテは瞬く間にその内に飲み込まれた。 161デビルメイクライ(19)sage04/05/10 09 07 ID 1lukNIBM 唇を引き結んでただじっとこちらを見上げているダンテに、ムンドゥスは指を突きつける。 「その目だ。スパーダと同じ、危険な光が見える」 「母の仇…」 ダンテがぼそりと呟いた。顔を伏せたせいでその表情を窺い知ることはできない。 「あんな生き物」 ムンドゥスがあざ笑う。 「母が欲しければ何人でも創造してやるぞ――トリッシュのようにな」 「黙れ!」 高笑いを上げながらムンドゥスが両翼を開いた。 ただ一度の羽ばたきでその巨体は辺りを取り巻く星の海を切り裂き、はるかな空の高みまで上り詰める。 魔帝の後を追うべくダンテは両足をたわめ、身を沈ませる。 次の瞬間天高く飛び上がった彼は、全ての魔力を解き放った。 赤い稲妻を放つ漆黒の体躯。背に広がるは六枚の禍々しい蝙蝠の翼。 マレット島での数々の激戦はその身に眠っていた彼の真の力を引き出すに至っていた。 今や伝説の魔剣士の正当な後継となった魔人と 数千年の時を経て魔剣士の封印から目覚めた魔界の帝王。 ここに伝説の戦いの幕が再び切って落とされようとしていた。 圧倒的な力を持った魔帝の攻撃を辛うじて避けながら、死力を尽くした攻撃を繰り出す。 斬れども斬れどもムンドゥスの魔力は果てがないかのように思われた。 だが果てしない戦いの末、幾度となく繰り出したダンテの斬撃は、ついに魔帝の力の最後の一欠けを削り取る。 己をさいなむ死の苦痛から逃れようとでもするかのようにもがきながら宙へ舞い上がろうとするが、 一打ちした途端に翼は粉々に砕け散った。 絶望の叫びと共にムンドゥスは瓦礫となり、崩れ去っていった。 162デビルメイクライ(20)sage04/05/10 09 11 ID 1lukNIBM 白い光が溢れる荘厳な神殿。大理石の床を踏みしめるダンテの靴音が響く。 魔帝とのあの激闘が嘘のように、辺りはしんと静まり返って何事もなく変わらぬままだ。 そう、床に横たわった彼女も。 ダンテは跪き、トリッシュの体を抱き上げた。 勿論彼女が目を開くことはなく、華奢なおとがいが力なくかくりと上向いた。 「母さんも俺を守って死んだ。そして、お前も…」 俯いて、漏れそうになる嗚咽をこらえる。 「俺は、お前を…」 擦れた声が震えるのを止められない。 「お前を暗闇から救えなかった!」 ダンテは天を振り仰いで慟哭した。辺りを覆う静寂の中に、悔恨の叫びが虚しくこだまする。 零れ落ちた涙が冷たくなったトリッシュの頬を点々と濡らした。 トリッシュを床の上にそっと横たえ、その胸元にアミュレットを置く。 銀の鎖がしゃらりと音を立てた。 「母さんの形見だ。お前に似合うぜ」 立ち上がり、ダンテは背中の剣を抜く。 眠っているかのように穏やかな顔の彼女の脇に、墓標代わりにスパーダを突き立てた。 「親父も見守ってる…安らかにな」 鳴動を始めた魔界。襲い掛かる魔物を切り伏せながら駆け抜ける。 主を失った結果、門の周辺が人間界と繋がった不安定な状態を維持できなくなり崩壊を始めたのだ。 門を抜け、古城まで帰り着いてもなお不吉な揺れは激しさを増しこそすれ収まる気配はない。 門が完全に消滅する前に早くこの島を離れなければ。 道を急ぐダンテの足元が不意に崩れる。 手がかりを求めて伸ばした腕は空を掴み、ダンテは暗闇の中へと落ちていった。 163デビルメイクライ(21)sage04/05/10 09 15 ID 1lukNIBM 水柱が高々と上がる。地面にしたたか打ち付けられた頭を押さえて辺りを見回す。 どうやら地下水路奥の広場のようだ。慌てて立ち上がる間にも人ほどもある岩が次々と落下し続け、 とりわけ巨大な岩がよりにもよって唯一の出口を塞いでしまった。 脱出口を探して視線をさまよわせるダンテはふと奥の一角に目を留めた。 いまだ崩壊を続ける周囲の状況にも関らず、 彼は息を呑んだまま何があるとも思えないただの壁を凝視している。 …否、彼が食い入るように見つめ続けているのは壁ではなくその手前の中空。 不意に宙に魔法陣が現われ、複雑な呪文がその表面に次々と映し出されていく。 同時に膨れ上がる強大な魔の気配。 最悪の予感が的中しようとしていた。 空間が歪み、閃光が視界を焼いた。 虚空を力ずくで押し開き現われたのは、やはり彼に打ち負かされ消え去ったはずの魔帝だった。 「魔界は開かれた。ダンテ、もう逃げられんぞ」 下半身を無理やり開けた即席の門の外に今だ残したまま、ムンドゥスは よろめくように後ずさるダンテを押しつぶさんばかりに這い寄って行く。 その体はあちこちが崩れ、露出した部分からは赤い体液がとめどなく流れ続けていた。 だがダンテもまた度重なる激しい戦いの疲労がピークに達し、ただ立っているだけでもつらい状態だった。 けれども彼は、この期に及んでなお道化た仕草で両手を広げ、 ぐるりを見渡しながらふざけた軽口を叩いてみせる。 「逃げるかよ。よく見な、もう出口なんかねぇ」 苦笑混じりに言った後、一転彼は射抜くような視線を相手に向けて、指をはったと突きつけた。 「だがお前も道連れだ!」 疲れきった体を叱咤して、必死の攻撃を次々と浴びせかける。 しかし幾ら闘志があっても限界を超えた体がついて来ない。 最早最後のあがきに等しい弱弱しい抵抗を、斬られるたびに外殻を破壊され、 肉でできた無数の触手まみれの化け物と化したムンドゥスがあざ笑った。 「どうした?その程度か、人間め!」 汗まみれで息をつきながらダンテは首を振った。 完全な八方塞がりだった ここで勝てたとしても地下広場から脱出する術はない。 いやそれ以前に残されたこの僅かな体力で勝つ事ができるのか…? らしくもなく絶望しそうになった自分に気づいて小さく悪態を漏らしたその時、 ふと辺りが奇妙な雰囲気に包まれていることに気が付いた。 164デビルメイクライ(22)sage04/05/10 09 21 ID 1lukNIBM 不思議な声が、どこからともなく語りかけてくる。 ダンテ…諦めないで。大丈夫よ… 優しい響き。聞き覚えがある声、いや、かつてはいつも聞いていたこの声は 「な…?か、母さん?」 愕然とダンテが問いかけるのと同時に、眩い光が明滅し、 ダンテが振り向いたそこに空間を切って現われたのは… 「私の力も使って!」 「トリッシュ!」 水音高く着地したトリッシュは素早く印を組むと、ダンテに向かって雷撃を放った。 ダンテの体にまとわりついた雷撃は以前のように彼を打ち倒すことはなく、 むしろ見る見るうちに新たな力が体中にみなぎってくるのを感じる。 これなら…一つうなずいたダンテは魔帝に向かってエボニーとアイボリーを構える。 持てる全ての魔力を銃に込め、トリガーを引く寸前、トリッシュが確信に満ちた表情で問いかけた。 「合言葉は?」 「ジャックポット!」 掛け声と同時に二つの銃から弾丸が放たれた瞬間、ダンテは反動で大きくのけぞった。 弾丸に込められた魔力が二筋の光となり、光は螺旋状に絡み合いながら一直線に魔帝を目指し、直撃した。 凄まじい魔力の嵐に門の内側へ押し戻されながらムンドゥスが叫ぶ。 「ダンテ、忘れるな…いつか必ず現世に蘇るぞ!」 怨嗟の絶叫に応えてダンテは茶目っ気たっぷりな敬礼を返した。 「あばよ。戻ってきたら――俺の息子によろしくな」 優雅に腰を屈めて会釈をすると同時に扉は封印され、一条の稲妻を残して消え去った。 お互いに駆け寄ったダンテとトリッシュは硬く抱きしめあった。 「ダンテ、私…」 身を離したトリッシュが涙を拭いながら何か言おうとするが、言葉にならない。 ダンテは真っ直ぐにトリッシュを見つめ、優しく囁いた。 「トリッシュ…悪魔は泣かない。その涙は――人間の宝物だ」 トリッシュはその言葉を反芻するようにしばらく沈黙していたが、やがて力なく首を振る。 「でも手遅れよ」 ダンテは顔を上げ、辺りをゆっくり見回した。揺れは激しくなり、次々と瓦礫が崩れ落ちる。 脱出口はどこにもない。瓦礫に押しつぶされる悲惨な最後が刻一刻と近づいていた。 しかしダンテは力強い声できっぱりと言う。 「いや、間に合ってくれた」 そう、彼は彼女のおかげで魔界の封印を守ることができた。それに… 165デビルメイクライ(23)sage04/05/10 09 24 ID 1lukNIBM 不意にひときわ激しい揺れが起こり天井に大穴が開いた。 穴の上から武器格納庫にあった、あの古い複葉機が降ってくる。 ぼろぼろの赤い機体を前にして、ダンテがトリッシュに語りかけた。 「そして俺たち人間は絶対に諦めない…行くぜ!」 足を踏み出したダンテの後ろにうなずいたトリッシュが続く。 プロペラが回転をはじめ、機銃が壁を破壊した。 「飛ばすぜ!」 ダンテは叫び、複葉機を離陸させた。 複雑に入り組んだ地下の洞窟の中を縫うように突っ切る。 背後からは炎が迫り、行く手には張り出した鍾乳石が立ちふさがる。 どちらにつかまっても命はない。自然操縦桿を握る手に力がこもった。 荒波が打ち寄せる岸壁。 ダンテが操る複葉機が洞窟から飛び出すと同時に炎が噴き出す。 それから数秒も置かないうちに島が崩壊し、 ちっぽけな飛行機は怒涛の勢いで広がる噴煙にあっという間に飲み込まれてしまう。 が、そう思ったのもつかの間、小気味いいほどの勢いでプロペラ機が煙を切り裂いて姿を現す。 ダンテはちょっとした曲芸めいた飛行技術を披露しながら、子供じみたはしゃぎ声をあげた。 眩しげに空を見上げながらトリッシュが言う。 「青い空…綺麗だわ」 「青空は誰の頭上にも平等に広がる」 胸に手を置き、彼女は小さく一人ごちた。 「空のように、心が晴れていくようだわ」 ダンテがちらりと背後を振り返る。 「忘れるな。魔界はいつかまた復活する」 軽くなった心に重しを置くような彼の言葉に、 後部座席から身を乗り出したトリッシュはウインクして微笑んだ。 「心配ないわよ。伝説の魔剣士ダンテがいるもの。その相棒もね」 赤い翼は海の上を太陽へ向かって真っ直ぐに飛んでいく。彼らは太陽の下へ帰るのだ。 太陽の下、人間の世界に。 深夜。満月の下、都会の喧騒が天高くに向かって這い登る。 どこか遠くからパトカーの音がかすかに聞こえる。 全ての騒音を圧して唐突にけたたましいベルの音が響き渡った。 どぎつい赤の電飾が瞬くダンテの店。看板の文字が真ん中の言葉だけ変わっている。 「デビルネバークライ」 デビルネバークライ(悪魔は泣かない) そう、ダンテがあの時、過去を悔いて泣くトリッシュに言った言葉だ。 「依頼ね。場所は?」 電話に出たのは男ではない。歌うように軽やかな女の声だった。 「すぐ行くわ」 どうやらかなり切羽詰っているらしい相手に女は頼もしげな答えを返した。 女は電話を切ると、傍で聞いていたらしい相棒に事のあらましを説明する。 「 合言葉 の客よ。ヤバそうね」 「オーケイ、十分で片付けようぜ。クソどもをそれ以上生かしちゃおけねぇ」 口の悪い返答をしながら扉を開けたダンテにトリッシュは 「五分よ」 と広げた手のひらを突きつける。ダンテはにやりと笑って両の拳を打ち合わせた。 「ラクショー!」 166デビル人sage04/05/10 09 25 ID 1lukNIBM 以上ミソーン20:悪夢との対決(SHOWDOWN WITH NIGHTMARE)からミソーン23:母の導き(MOTHER S GUIDE)及び エピローグでした。 後小ネタ。ダンテマストダイ(最難モード)クリアした時だけマレット等脱出した直後の シーンでダンテが「If Devil May Cry is rocking,You ll never knocking,baby,Year!」 と叫びます。意味は「デビルメイクライが良いと思ったらごちゃごちゃ文句言うんな!」 だそうです Devil May Cryに関係ないレスの一部、不快に感じられる言葉など削除、訂正済
https://w.atwiki.jp/kawauso3/pages/2.html
メニュー トップページ メニュー? メニュー2 @ウィキ ガイド @wiki 便利ツール @wiki
https://w.atwiki.jp/pokeguil/pages/232.html
名前:レディ・サンロード 種族:レディアン 出身:シリウス王国 性別:女 身長:132,5cm 体重:30,6kg 年齢:16歳 特性:虫の知らせ 職業:シリウス王宮騎士団第三師団団員 武器:両手剣(シルバーソード) pixivURL http //www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium illust_id=4350677 tag=%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%82%AE%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%BC 「シュナイデン様と一緒に戦えるなんて、私、幸せです!!」 「実はファンクラブにも入ってるんですよ~!会員番号316番なんです!」 「きゃっ!すみません!!ちょっとよそ見してて…ってあれ?」 シュナイデンに憧れ入団したレディアンの女の子。 幼い頃から騎士になることを夢見ていたが、弱小種族と言われていたため諦めかけていた。 だが、ある時にシュナイデンの雄姿を見て感動し、再び騎士になることを決意した。 父はそこそこ名の知れた鍛冶職人で、彼女が騎士団に入団したいと言った時に、 「騎士団に入るなら立派な装備を」と、装備一式を作ってくれた。 中でも盾と兜は特別製で、魔法攻撃まで弾く事ができる優れもの。 彼女自身が覚えている「リフレクター」、「しんぴのまもり」等と組み合わせて使えるため、守備面は優秀である。 ただ種族のせいもあってか少々非力な上、どじっこという性格のせいで、戦いで失敗をしてしまうことも多い。 だが、その性格が裏目に出ずに、かえって成功につながることもある。 かなりの強運(悪運?)の持ち主である。 しかし細かいことや失敗を恐れない性格から、本人全く気づいていない。 明るく素直で、人見知りをしないので、知らないポケモンでもすぐ打ち解けられる。 ただ何分どじっこなので、無意識に迷惑をかけてしまうこともあり、ちょっと人付き合いに困っている。 →レディの技・特性
https://w.atwiki.jp/wiki8_hdadvance/pages/89.html
【投稿者】 侍 【HDA ver】 3.0 【PS2型番】 50000 【インストールツール】 コピー 【動作具合】 起動、動作、セーブ等問題無し 【備考】 クリア確認 【投稿者】 【HDA ver】 【PS2型番】 【インストールツール】 【動作具合】 【備考】
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/1050.html
デビル メイ クライ part3-502~504・530・537~538、part5-456~459・474・476~477・504~506・569~573、part8-157~167 502デビルメイクライ04/02/08 18 50 ID btZM3qM6 二千年前、魔族が人間界に侵攻を始めるなか、正義の心に目覚めて悪魔の陣営を離反し 巨大な軍勢にひとり立ち向かった魔剣士スパーダ スパーダは魔帝ムンドゥスを倒し眠りにつかせた スパーダと人間の間に生まれた主人公ダンテは現代において復活したムンドゥスに殺された 母と双子の兄の仇を討つ為、便利屋「デビルメイクライ」を開き、魔族が関わってると思われ るヤバイ仕事を請け負っていた 503デビルメイクライ04/02/08 19 20 ID btZM3qM6 ダンテ:悪魔が恐れる男。現代に蘇った魔剣士の戦闘スタイルは銃&剣 とかいいつつ篭手なんかも使う デビルトリガーを発動させることにより雷の魔人アラストルや炎の魔人 イフリートに変身できる トリッシュ:魔界の人間界侵攻阻止を依頼してきた謎の美女 死んだ母にそっくりだが、人間とは思えない力をもつ ネロ・アンジェロ:ダンテと同じ剣技を使う謎の剣士 ダンテを執拗に狙う 使用武器 フォースエッジ:スパーダの形見の剣。デビルトリガーは発動できない。弱い エボニー&アイボリー:ダンテ自作の2丁拳銃 アラストル:雷の力を帯びた剣 あとはショットガン、水中で使用するニードルガン、グレネードガン、デビルトリガー ゲージを消費して使用する魔界の兵器ナイトメアβなど 剣・篭手と銃は同時に装備できます 504デビルメイクライ04/02/08 19 22 ID btZM3qM6 忘れてた イフリート:炎の篭手 530デビルメイクライ04/02/11 11 55 ID o/0POyai バイクで店に突っ込んできたトリッシュは有無を言わさずに襲い掛かってくる 奪ったフォースエッジで胸を貫いたあげくにバイクを投げつけた するとダンテは「剣?ハハ!銃をくらいな!!」なんて言いながらエボニー&アイボリーで バイクを押し返し胸から剣を抜いた(これくらいじゃ死なないらしい) ダンテの実力を確かめたトリッシュは魔界の人間界侵攻阻止を依頼する 待ちに待った依頼であり、トリッシュの容姿にも心惹かれるものがあるので承諾し、ともに 魔界の扉が開きかけているマレット島へ向かった 537デビルメイクライ04/02/11 14 45 ID o/0POyai マレット島に着いたふたりは別行動をとることになる(このへんの事情は忘れた 古城に入ったダンテが探索してるとマリオネットがいきなり動き出して襲い掛かってきた のであっけなくぶっとばす(基本的に敵は弱いです。ボタン連打でもスタイリッシュになぎ 倒してくれる。中・大ボス以外で死ぬことはまずない。) 大剣がつきたてられているレリーフをしらべるとその剣は意志をもってるかのように動き だし、ダンテの心臓を貫く(またか) 当然のように剣を引っこ抜いたダンテはアラストルの使用者と認められた。デビルトリガー が発動可能になる。はさみで攻撃してくる仮面野郎(ザコです)をぶっ倒しつつ奥に進む 538デビルメイクライ04/02/11 15 00 ID o/0POyai デビルトリガーについて アラストルを装備してると雷の魔人、イフリートなら炎の魔人に変身する 発動には一定量のデビルトリガーゲージが必要で、使用中は徐々に消費されていき0 になると元に戻る。あと強力な技を使うと消費スピードが速くなる 発動中の変化 専用の技が使える 剣(篭手)のダメージが二倍になる 銃攻撃は溜めなくても強力になる(忘れてたけど銃は溜め撃ちができる) 受けるダメージが減る 攻撃されてものけぞらなくなる 敵の防御を無効化する 体力が徐々に回復する など 一言で言えば鬼です 456sage04/03/23 08 30 ID zReNzMpe ダンテは祭壇で手に入れた「裁きの宝杖」を隠し扉にはめ込んだ。 扉に彫られた死をつかさどる裁判官のレリーフが完成し、重たげな音と共に左右に分かれていく。 足を踏み入れたそこは大聖堂だった。 荘厳なオルガンの響きの中、奥にしつらえられた祭壇で浮遊する「獅子のプレート」に手を伸ばす。 と、プレートに掘り込まれた文字が目に入った。 "試練の道を進まぬものに 獅子の誇りを得ることかなわず” 不意にプレートから一条の光が放たれ、背後の扉の封印を破る。 “道を戻り、汝が勇猛さで奈落の底から帰りたまえ さすれば獅子の誇りを授からん” 大聖堂から伸びた空中回廊を進んだ先に記されていた言葉に従って、進んだ道を後戻ったダンテは、 途中で落雷に打たれ、砕けた回廊もろとも海の底へと叩き落される。 海中のダンテに巨大な頭骸骨の群れが襲い掛かる。悪魔「サルガッソー」。獅子の課した試練だった。 457デビルメイクライsage04/03/23 08 42 ID zReNzMpe 群れなす悪魔を打ち破り、大聖堂へと戻る。 プレートを手に入れたダンテ。と、その時。彼の背で、アラストルがかすかな雷光を発する。 次いで背後で膨れ上がった殺気に気付いたダンテが振り返ると同時に、 天井のステンドグラスをブチ破り、巨大な蜘蛛が降ってきた。魔王の腹心、悪魔「ファントム」だった。 「なんだこのチビは?大きな闘気を感じたが…ただの人間か!」 小山のような大蜘蛛の言葉を、ダンテは微塵も臆することなく鼻先で笑い飛ばした。 「なんだ、化け物? 筋肉以外にもちゃんと中身は詰まってんのか?」 あざ笑いながらファントムの太い脚を、確かめるように手の甲でとんとん、と叩く。 「ほざいたな虫ケラ…叩き潰してやるわ!」 高々と振り上げられた、灼熱のマグマを内に抱く脚を、ダンテはそれよりも高い跳躍で鮮やかにかわす。 そして闘いが始まった。 耳をつんざくような恨みの叫びが響く。敗れた悪魔は自らの熱で床に穴を穿ち、逃げさった。 中庭で獅子の像にかけられた封印を、獅子のプレートによって解き、現われた門番―黒猫の姿をした 影の悪魔、シャドウ―を倒す。封印の解かれた東塔、城主の寝室に置かれた憂鬱な顔をした女性の像。 胸元に開いたスリットに塔の最上部で入手した儀式用の剣「死の宣告」を差しこむと、像がくわえていた 装飾品「憂鬱なる魂」がぽろりと落ちた。 床に転がった「憂鬱なる魂」を拾おうと身をかがめるダンテ。その時、再びアラストルがかすかな音を立てた。 458デビルメイクライsage04/03/23 08 53 ID zReNzMpe 魔剣の警告に顔を上げ立ち上がる。辺りを見回すが誰もいない。 油断なく見回しながらあとずさるダンテの背後に置かれた鏡。 彼の背中を映すはずの鏡の中に、何故かこちら向きの彼がいる。 振り向いたダンテの目に、鏡から踏み出そうとする影が映った。 ゆっくりと後ろに下がるダンテと対を成すように、もう一人の彼が悠然と歩み寄ってくる。 唖然と見守るダンテの前で、鏡像のダンテは漆黒の甲冑に身を包んだ魔剣士へと姿を変えた。 「掃き溜めのゴミにしちゃ、ガッツありそうだな」 剣を抜いた悪魔「ネロアンジェロ」に語りかけたダンテに相手は答えず、開いた窓を示すと、 バルコニーから夕暮れの空へ飛び出した。 中庭で二人の剣が激しくぶつかり合う。 弾かれて膝を突いたネロアンジェロに好機とみたダンテは切りかかった。 だが相手はひらりと宙を飛んでかわし、アラストルはむなしく空を切っただけだった。 背後に着地した魔剣士の蹴りに剣を飛ばされ、素手で打ちあうが、不意をうたれたせいで数打も持たない。 回し蹴りで壁に叩きつけられ、崩れ落ちたところを掴み上げられて再び壁に叩きつけられた。 吊り上げられて苦悶にあえぐ胸元から何かが滑りでる。 それ―ダンテの胸で輝くアミュレット―を目にした途端、ダンテを壁に貼り付けにして、 残酷な笑みを浮かべていたネロアンジェロの様子が激変した。 触れてはいけないものにでも触れたようにダンテを放り出し、頭を抱えて荒い息をつく。 苦悶するその姿が青い炎に包まれ、魔剣士はいずこかの空へと消え去った。 459デビル人sage04/03/23 08 55 ID zReNzMpe ここまででミッション3 灼熱の破壊者(DESTROYER OF ARDOR) ミッション4:漆黒の騎士(BLACK KNIGHT)です 474デビルメイクライ(4)sage04/03/24 08 37 ID oFTc6wWD 東塔を一息に駆け下りる。「憂鬱なる魂」を使い、地下通路への扉を開いたダンテは次々と襲い掛かる魔物を 退け、新たな鍵「陽光の導き」を手にした。途端に強力な脱力感に襲われるダンテ。時間と共に体力を奪う鍵に さいなまれつつも再び襲い来たファントムをなんとか退け、城主の寝室へと帰還する。 手にした鍵を陽光のレリーフにはめ込むと、錆び付いた音を立てて隠し扉が開いた。ホールを真下に望みながら 崩れ落ちた渡り廊下を飛び越え、錬金術の間を抜けるとホールの屋上に出た。 ステンドグラスの床を通り過ぎ、開いた鉄格子に近づく。 しかし格子に辿り着く寸前、ダンテの目の前で鉄の扉は轟音を立てて落ちた。 一歩、二歩とあとずさる背後で、いやという程聞きなれた、重い足音が響く。 はっとして振り返ればうんざりするくらい見慣れた脚が、城壁を乗り越えるところだった。 476デビルメイクライ(5)sage04/03/24 08 43 ID oFTc6wWD 「休み時間は終わったぜ、坊や!…ガキの遊びはもうやめだ。やりたい放題やってやる!」 地鳴りと共に飛び降りてきた悪魔は、背中に巻き込んでいた長い尾をゆっくりとほどいていく。 憤怒に煮えたぎったファントムの言葉に、ダンテが怯むことは全くなかった。 それどころか寧ろ嬉々として両腕を広げ、眼前に叩きつけられた蠍の尾に向かって挑発しさえしてみせる。 「やれよ、マジな遊びをしようぜ!」 そして、死闘の幕が切って落とされた。 戦いは意外な方向で決着した。 雲突く巨体の重みに耐え切れなくなったステンドグラスが破れ、ファントムは階下に向かって落下する。 疲弊しきった魔王の腹心に止めを刺したのは、魔狩人の一撃ではなく、槍を掲げたホールの騎士像だった。 貫かれた腹からマグマを噴き出させ、ぜいぜいとあえぎながらファントムが問う。 「お前、ただの人間ではないな?…何者だ」 ダンテは答えず、丸く穴を開けたホールの穴からただ冷然と見下ろすのみだ。 が、次の瞬間、その背後に映る「なにか」をみたファントムの声が震えだした。 「まさか…伝説の魔剣士スパーダ…!?そんなバカな」 勝者はにやりと笑い、初めて己の名を敗者に告げた。 「鋭いな。その息子ダンテだ」 断末魔の絶叫を聞きながら、嘲笑交じりの別れのキスを投げる。 「ネンネしな」 ファントムは絶命し、亡骸は瞬く間に灰となって消えた。 477デビルメイクライ(6)sage04/03/24 08 49 ID oFTc6wWD さして面白くもなさげに鼻を鳴らし、ダンテがその場を立ち去ったあと。誰もいないホールに佇む影があった。 「ファントムが負けた…まさかこれ程とは…」 呆然と首を振った影は、長い金髪をなびかせてその場を立ち去った。 前庭で手に入れた「三叉の矛」は城の跳ね橋を上げるための装置の一部だった。 機械に矛を差し込むと巻き上げ機が作動し、外界との間に長い橋が掛かる。 ダンテを渡した橋は何事もなかったかのように元の位置に収まった。 コロシアム前広場で地中から現われた悪魔「ブレイド」をほふり、入場門前庭へ。 空中に浮かぶ台座を見つけ、足場を上り詰めたダンテは台座にゆれる炎が、頭の中に語りかける声を聞いた。 “我が名はイフリート 我を目覚めさせる愚かなる者よ 地獄の業火をその身をもって知れ” 炎は弾け、目にも止まらぬ速さで宙を駆け巡る。 爆発と共にダンテの腕をくわえ込んだ炎は、竜の意匠を施した篭手へと姿を変えていた。 辺りに荒々しい雄たけびが響き渡る。 ダンテは高熱を発する篭手を無理やりにねじ伏せ、その力を手に入れた。 コロシアム前広場に戻ったダンテの頭上に赤い稲光が走る。 一転俄かにかき曇った空を振り仰げば、渦を巻く黒雲の中から長い尾をもつ巨大な鷲が現われるところだった。 外壁に降り立った悪魔「グリフォン」。彼もまた魔王の腹心だった。 「貴様か。ムンドゥス様に楯突くスパーダの息子というのは」 傲然と問うグリフォンにダンテはふざけたように軽やかなステップを踏んでみせる。 「消えな、トリ頭。それとも痛い目見るか?」 怒りに猛り立った叫びが広場に響いた。504age04/03/25 10 07 ID apzDB6f5 空から地から、ダンテを攻め立てたグリフォンもまた、悪魔狩人の前に屈し、逃げ去らざるを得なかった。 置き土産代わりの赤い稲妻が消えぬ内に炎を宿したダンテの拳が閃き、広場の門が開かれる。 霧にかすむ渓谷を、漂う不思議な明かりを頼りに抜け、植物の生い茂る、巨大な温室庭園へ辿り着いた。 庭園で手に入れた「純潔の証」を水上回廊の祭壇に捧げる。 封印の解けた「聖杯」を手に取った途端、背後で扉がふさがれ、頭上に稲光が閃いた。 運命にも似た予感を感じながらゆっくりと振り返る。 回廊に現われた魔剣士が大剣を掲げ、ダンテとの対決を待っていた。 二度目の対決で膝を折ったのは、最初の対決での勝者だった。 辛くも勝利したダンテを後に、魔剣士は稲妻と共に消え去った。 「聖杯」を「騎士像」の前に掲げ、地下水脈への道を開く。地下の洞窟に浮かんだ幽霊船。 船守りを倒し、出航する。 復讐に猛り現われたグリフォンとの再戦を制し、船長室で入手した「ヘルメスの杖」を手に 激戦の衝撃で沈没した船内から脱出。打ち寄せられた島の裏手から滝壺を抜けると、古城の外壁に出た。 505デビルメイクライ(8)sage04/03/25 10 11 ID apzDB6f5 裏門の鍵を開け、コロシアム前広場へ。途中で手に入れた「小さな楯の紋章」と引き換えに闘技場の扉を開く。 「対なる二槍」を得る。地下の小部屋から出たダンテを、闇夜が包んだ。 悪魔狩人の血を求めて集まってきた魔物たちを「魔光石」の明かりが照らす。 闘技場の中央に書かれた巨大な魔方陣が、ダンテの中に不思議な声を響かせる。 “コロシアムに生贄を捧げよ 贄の儀は運命の輪へと道を繋ぐ” 漆黒の夜空にそれよりなお黒い暗雲がたちこめ、激しい雨が降り出した。 雷雲の中に、それを裂こうとうごめく影がある。 度重なる敗北に誇りを砕かれ、最早退く事の出来なくなったグリフォンだった。 片翼を折り砕かれた巨体が魔法陣の上で地響きを立てる。 石柱に心臓を貫かれ、生贄として大地に捧げられた巨鳥は、それでもなお敵に向かってあがき続けた。 「偉大なる我らが主よ。我に力を与え給え、この者を倒す力を!」 虚空に溶けるかと思われたグリフォンの叫びは、しかし暗雲の中に稲光を呼び、激しい渦を巻き起こした。 渦の中に現われたものをみて、ダンテの表情がありありと、劇的なまでにこわばる。 「おお、ムンドゥス様」 渦の中、浮かぶ赤い三つ目にグリフォンは嬉しげに語りかけたが、その期待は無残に打ち砕かれた。 苛烈きわまる雷の鞭が放たれ、凄惨な絶叫が上がる。 無慈悲な主の制裁が、戦う力を失った哀れな下僕を跡形もなく焼き尽くした。 506デビルメイクライ(9)sage04/03/25 10 17 ID apzDB6f5 「あの、三つ目…」 呆然と呟く背後に電光が瞬き、トリッシュが現われた。 「勝ったの?大したものね」「ムンドゥス」 今のダンテの耳に、しかし賞賛の言葉は届かなかった。 硬く握りこんだ拳の内には、母の形見、赤いアミュレットが光っている。 「汚ねぇ事しやがる。自分の仲間を虫ケラのように!」 さっきまでの敵にかける言葉とも思えず、面食らうトリッシュ。不審げに瞬く瞳の前で、ダンテは小さく俯いた。 「俺の母親と兄弟のときもそうだった…母の話を思い出す。弱者のために戦った―勇気ある父の話を」 振り返った瞳には強い決意が宿っていた。 「父の名に誓って、奴に死を!」569デビルメイクライ(10)sage04/03/28 05 19 ID LJ/eq2HS 前回までのあらすじ:悪魔は何時間水に潜ってても平気。(ちなみに水中では主観視点。ガンコンゲーみたいな) 後(7)の一行目分りにくいですね。 片側だけに炎がともった扉のもう片方をイフリートで殴ると扉が開く。そういうしかけ。 一条の雷光と共に、無言で姿を消すトリッシュ。ダンテは城の前庭へと戻った。 上がったままの吊り橋を対岸に望みつつ、グリフォンの魂を贄として手に入れた「運命の輪」を 足元の石碑にはめ込む。直後、輪から放たれた閃光が橋のたもとを撃ち、吊り橋はダンテの前で 地響きを立てて横たわった。 暗闇に浮かび上がる夜の古城に再び足を踏み入れたダンテ。 城の内部は、以前とは全く異なる様相を呈していた。 城内に満ちる瘴気の影響か、あちらこちらで扉が消え、迷うダンテの前に、その血をすすろうと 更に強力な悪魔が立ち塞がる。玄関ホールの巨大な彫像が消えている事を不審に思いつつも、 魔光石のかすかな明かりに照らされた廊下を進み、大聖堂へ。 その中央には、以前にはなかった奇妙な水溜りがある。 覗き込むと鏡のように透き通った水が、頭の中に声を響かせた。 “魔への門を開かんとする者よ 青き霊石の力を借りよ” 言葉の意味を反芻する間もなく、巨大な何かが水鏡の中からせり上がってくる。 宙に飛び出したゲル状の物体が床一面に広がる。魔界の生物兵器、「ナイトメア」だった。 570デビルメイクライ(11)sage04/03/28 05 24 ID LJ/eq2HS 大聖堂の四方に配置された魔方陣を切りつけ、光を灯すとナイトメアの液状の身体を固定し、 ダメージを与える事が出来る。気付いたダンテの剣が一閃、魔界の兵器は地面に熔け、消えた。 砕けた空中回廊を飛び渡り、先端に描かれた杖のレリーフに、幽霊船で入手した「ヘルメスの杖」を 掲げると空だった両脇の額の内が渦を巻き、その表面に二つの風景を映し出した。 一見それは油絵のようだが、よく見ると表面が水のように波立っている。 絵の中に飛び込んだダンテを禍々しい気を放つ古城の衛兵室が迎えた。 螺旋階段を上り、古城の三階へ達したダンテは、そこに飾られた額の中で渦巻く油絵を再び目にする。 迷う事無く飛び込むと、そこは月夜の闘技場。 冷気を纏った悪魔「フロスト」が、研ぎ澄まされた爪を突きたてようと一斉に飛び掛ってきた。 闘技場を抜け、絶え間なく鳴り響くいかづちをBGMに、群れ集う悪魔を切り捨てながら進む。 別れ道の一方は、巨大な博物館。 “行く手を阻みし冥界の竜 剣で勇気の証を見せよ 竜は自らの炎で滅ぶだろう” 傍らの石碑に目を留めたダンテの鼻先すれすれを、一抱えもある火の玉が行き過ぎ、壁で爆発する。 目を凝らすと、奥には巨大な竜の化石が、再びあぎとに蓄えた炎を放とうと待ち構えていた。 心得たダンテがアラストルを閃かせると、跳ね返された炎は竜を撃ち、ばらばらになった化石は 再び眠りについた。 “月の雫は鏡を渡りて珠となる 天上の道を知るものだけが珠玉の光を手に入れる” 石碑にしるされたもう一つの文に従い、ハンドルを操作して鏡の向きを変える。 月の光が走り、二階テラスに集められた光は銀に光る宝珠を生み出した。 テラスへと向かう透明な道は稲光によってのみ姿を現す。 きらめく雷光にあわせて足場を跳躍したダンテは、「月光水」を手に入れた。 別れ道のもう一方を塞ぐ扉に「月光水」をはめ込む。 扉を開き、訪れた豪雷轟く謁見の間。 静かに振り返り、床に刺していた大剣を抜く人影を見て、ダンテの頬が思わず緩む。 敗北に怯まぬ相手に対するものか、それを我知らず喜んでしまう自分に向けたものか。 苦笑にも似たその笑みは、最早復讐に燃える悪魔狩人のそれではなく、好敵手を得た男のものだった。 「マジにガッツあるな。気に入ったぜ。…掃き溜めには勿体ねぇ」 黒騎士は黙して答えず、一旦はダンテに向かって突きつけた剣を、再び床に突き立てると、 何かを迎えるように天に向けて両腕を開いた。 直後、黒い鎧から噴き出した魔力が、奔流となってダンテに向かう。 押し流されかけるのをこらえて数歩を下がり、頭を庇っていた腕を下ろすと、 そこには兜を脱ぎ、瞬く紫電の光に素顔をさらしたネロアンジェロの姿があった。 571デビルメイクライ(12)sage04/03/28 05 32 ID LJ/eq2HS お互いが察していた。これが最後の戦いだということを。 敗北した方がこの世から消える。 厳然たる死の決着によってのみ、三度に渡るこの死闘の勝者が決定するのだ。 雷光が閃き、炎が迸る。ダンテの銃弾は黒騎士の斬撃によって跳ね返され、 空を切って飛来したネロアンジェロの魔力剣は、魔狩人の拳打に叩き落された。 互いが互いの命を求め、持てる技全てをさらけだす。 生死を賭した互角の戦いは、いつ果てるともなく続いた。 ダンテは宙を呆然と見上げ、一歩、また一歩と後ずさる。まるで自分の勝利が信じられぬかのように。 視線の先には、ダンテの死に物狂いの一撃に甲冑を貫かれ、断末魔の苦痛に悶え苦しむ ネロアンジェロの姿があった。身をよじりながら高く浮かんだその体から、黒い魔力の嵐が吹き出し、 次いで降り注いだ激しい閃光が、稲光を圧して辺り一面を真昼のごとく照らし出した。 眩しさに一旦覆った手の平を目の前から下ろせば、もうそこに黒騎士の姿はなく、彼が消え去った虚空から 落ちてきた何かが石畳を叩いて、ちりん、と鳴った。 床に膝を突き、拾い上げる。やや身を屈めたせいで、襟元からアミュレットが滑り出た。 ダンテの胸で赤く光るそれは、握り締めた手の中のものと、同じデザイン。 同じアミュレット。…二つに分かれた形見の、もう一つの片割れ。 “バージル、ダンテ、誕生日おめでとう” 優しい母の声が耳元で響く。歓声を上げて母に駆け寄る子供たちの声。 幸せだった幼い自分と、もう一人の笑い声。 剣を交えるたび、頭の奥で次第にふくらみ、大きくわだかまっていったもの。 今それが、見開かれた目の奥で、一本の線となって繋がれる。 自分と同じ太刀筋。自分と同じ身のこなし。自分と同じ…魔剣士スパーダの武術。 疑問の全てが氷解し、ダンテは唇を硬く噛み締めた。 572デビルメイクライ(13)sage04/03/28 05 35 ID LJ/eq2HS 時を同じくして。ダンテの前から立ち去ったトリッシュは柔らかな白い光が溢れる神殿に佇んでいた。 立ち並ぶ柱の最奥に座し、祀られているのは古城から姿を消したあの巨像である。 「トリッシュよ、バージルが敗北した」 ふいに巨像が口を開き、重々しい声を響かせる。 「するべきことは分かっていよう。さあ、行け!」 荘厳な神殿には似つかわしくない不気味な声に、しかし巨像を見上げたトリッシュはうやうやしく応じた。 「仰せのままに」 新たに油絵が映し出したのは浸水した地下の牢獄。 重力の法則さえ狂った城の中を、ダンテは次々襲い来る悪魔を蹴散らしながら進む。 その手に握られているのは父の形見、「フォースエッジ」。 だがその刀身は禍々しい赤い瘴気を放つ、長槍とも大鎌ともつかぬ長大な剣へと姿を変えている。 これこそが一つに重なったアミュレットの力により本来の姿に戻った魔剣「スパーダ」であった。 階段塔の最上部で発見した卵形の石「哲学者の卵」を内庭のかがり火に投じる。 卵の変成を待つダンテの背後に、じわじわと染み出してくるものがあった。 ナイトメアとの二度目の戦いが始まろうとしていた。 魔方陣の封印が解け、ゲル状に戻った敵を避けながらダンテは再度ナイトメアの肉体の固定を試みる。 液状の時、この魔物に取り込まれれば、己の中の悪夢の空間に飛ばされ、いまだ精神の中に存在する、 かつて倒したはずの難敵達と再び戦わねばならない。 その厄介さは最初の戦いで、身に染みる程思い知らされていた。 不可思議な青い熾火により「哲学者の卵」が変化した「霊石エリキサ」を携えて、回廊先端の油絵から 城主の寝室へと移動する。以前ネロアンジェロが中から現われた姿見。 湧き出てくる闇の波動を感じながらも以前はどうすることも出来なかったそれが今、 エリキサに反応して波打っている。 ためらう事なく鏡の中へ足を踏み入れたダンテを、視界さえ歪む魔の気配が取り囲んだ。 「“魔”は人の世の写し絵でもある。すなわち“魔”は鏡の中にある」 あべこべの世界が放つ圧倒的な瘴気に押しつぶされかけながら、ダンテは城内で見つけた手記の事を 思い出していた。つまり、あの鏡こそが魔界の入り口だったのだ。 573デビルメイクライ(14)sage04/03/28 05 38 ID LJ/eq2HS 城壁中庭にしつらえられた台座から、十二面体のオブジェ「賢者の石」を取り外す。 途端にねじれた世界に狂った哄笑が響き渡った。 掴みかかってきた悪魔「ノーバディ」の包囲網を破り、追いすがるのを叩き伏せ、 何とか鏡のこちら側へと帰り着く事が出来た。しかしダンテは息をつく間もなく大聖堂を目指す。 魔界との最終決着への道が、いまや遅しと彼を待ち受けていた。 先刻ここを覗いたときに脳裏に響いた声。大聖堂に滲む水は、エリキサを求めていたのだ。 その証拠に、聖石に気付いた水“鏡”は、喜びにむせぶかのように波打って、 あっという間にダンテをその内へと飲み込んでしまった。 鏡の中、悪意と殺意の波動が渦巻く世界に再び足を踏み入れたダンテ。 何か生き物の体内めいた奇妙な部屋。骨のような柱が取り巻く床には、虹色の液体がたゆたっている。 これが、魔界の門だった。賢者の石を、眼窩のような台座にはめ込むと、虹色の液体は跡形もなく消え、 門は来訪者を招き入れるように口を開けた。 脈打つ赤黒い血管が走る、気味の悪い洞窟を抜けると広い空間に出た。 辺りを見回したダンテは低く感嘆の声を上げる。 地面も床も、一面が禍々しい赤い呪文の羅列で覆われている。 しかし彼が部屋の異様さに圧倒されて一帯を見渡していたのも、ほんの一時だった。 「ダンテ!」弱弱しい声に弾かれたように振り向く。 「ここよ、助けて!」倒れ伏したトリッシュが、救いを求めて白い腕を伸ばしていた。 「トリッシュ!」駆け寄ろうとしたダンテの足は、数歩も行かない内に急ブレーキをかける。 部屋中の呪文が邪悪な輝きを増し、床を削ってダンテを取り巻いた青い光は彼を閉じ込める堅牢な檻と化した。 トリッシュとの間に壁を築かれ、その内に囚われた事を悟って焦りの色を見せるダンテの背後に、 覚えのある殺気が滲み出す。「贄の儀式の間」が己の役割を果たそうとしていた。 「トリッシュ!離れてろ!」 身を転じ、三度現われたナイトメアを目にしたダンテは、いまだ倒れ伏したまま、不安げな様子のトリッシュを、 結界越しに背後に庇い、不利な戦いに身を投じた。 157デビルメイクライ(15)sage04/05/10 08 58 ID 1lukNIBM 三度に渡るナイトメアとの戦い。またしても勝利はダンテの手中になるかと思われた。 しかし魔方陣で固定された巨大な悪魔に向かって、とどめとばかりに剣を振り上げたその時、 ダンテの全身を激しい稲妻が打ち据えた。 予想もしていなかった背後からの不意打ちに、たまらず地面に倒れこむ。 倒れ伏した彼に浴びせられた冷笑は、思いもしなかった相手の声だった。 やっとのことで身を起こし、膝を突いたまま愕然と背後を振り返ると、 冷ややかにこちらを見下ろす金髪の美女が霞む目に映った。 「無様な姿だな!」 「トリッシュ、まさか、お前?」 ふらつきながらも何とか起き上がり、荒い息の下から問いかける声を障壁越しにもう一度あざ笑い、 トリッシュはついさっきまで助けを求めてダンテへ伸ばしていた腕を、汚らわしげに彼へ向かって突きつけた。 「甘えた人間め、その愚かさを悔いるがいい」 広げた両腕に見る間に雷光が満ち、正体を現した魔帝の刺客は敵意もあらわにダンテへ挑みかかった。 「お前は我々の計画に邪魔なのだ…死ね!」 激烈を極めた二対一の戦い。 しかし彼を追い詰めた卑劣な悪魔の罠も、すんでのところでダンテを打ち負かすことはかなわなかった。 核を貫かれたナイトメアがびくりと身を震わせ、その巨体はみるみる己の作り出したゲル状の海に沈んでいく。 地響きが走り、ダンテを閉じ込めていた光の檻が消滅した。 揺れは大きくなり、ゲルの海が激しく波打つ。 ついで上がった断末魔の絶叫と共に、暴走したナイトメアの魔力が閃光となって一斉に解き放たれた。 辺り一面をでたらめに荒れ狂う魔力の槍を、ダンテとトリッシュは慌てて身をよじり、何とかかわす。 やがて力尽きたナイトメアは立ち上る黒煙の柱となって、消滅した。 158デビルメイクライ(16)sage04/05/10 09 00 ID 1lukNIBM 伏せた地面から顔を上げて、ふと周囲に目をやったダンテは、慌ててがばりと跳ね起きる。 衝撃にぼんやりと立ち尽くすトリッシュの頭上。 閃光によって切り裂かれた巨大な柱が支えを失い、今まさに彼女に向かって崩れ落ちようとしていた。 呆然と辺りを見回していたトリッシュは猛然と駆け寄ってくるダンテに気づき、身構える。 しかし彼女も落ちかかってくるものの気配をすぐに感じ取って顔を上げた。 だがその時は逃げ出すには既に遅く、無駄だと知りつつも咄嗟に腕で頭を庇う位しかできない。 トリッシュの上げた絶望の悲鳴と共に岩塊は地面に激突し、粉々に砕けた。 もうもうと土煙の舞う中、トリッシュは薄目を開けた。 崩れ落ちた岩の柱から自分を救ってくれた男が、彼女の体の上から身を起こす所だった。 彼の行動に驚きながら自分もゆっくりと起き上がる。 彼は服に付いた埃をぞんざいに払うと、後も見ずに立ち去ろうとした。 「ダンテ!」 背中にかけられた声にダンテは立ち止まった。 「なぜ私を助けた?」 横顔だけを向けて、一心に見つめる瞳をちらりと見やる。 暫しの沈黙の後再び首を返し、彼はぽつりと呟いた。 「母さんに似ていた」 一旦言葉を切った後、次にその唇から漏れたのは冷え冷えとした悪魔狩人の言葉だった。 「さあ消えな。次はこうは行かない」 去っていく後姿をトリッシュは呆然と見守っていたがたまらなくなり立ち上がる。 「ダンテ…」 「寄るな悪魔!」 駆け寄ろうとしたがその歩みはわずか数歩で押し留められた。 「その顔を二度と見せるな」 エボニーの照準をぴたりと彼女の眉間に合わせ、ダンテは噛み付くようにして言い募る。 「魂の灯火が消えた、作り物の顔をな!」 かける言葉もなく立ち尽くす彼女を燃えるような目で睨み付けた後、 忌々しげにダンテは銃を下ろし、その場を後にした。 何事を思っているのか、無言で彼が消えた方を見つめているトリッシュ。その背後に赤い三つ目が瞬く。 「失敗したな。掟は知っていよう」 主の断罪の言葉にも、しかし彼女は依然として無言のままだった。 159デビルメイクライ(17)sage04/05/10 09 02 ID 1lukNIBM 洞窟の中心の巨大な心臓。その動脈は奥の大扉に繋がっている。 大扉脇の結晶に切りつけると先刻通り過ぎた、骨で覆われていた小扉の封印が解かれた。 気を抜けば壁から生えた一面の触手に生気を絞りつくされかねない細道を抜け、溶岩の池にそそり立つ岸壁を登っていく。 最奥部の紋章に切りつけると心臓が拍動を始め、それに従って眼下の大扉の封印が次々と解けていく。 足を踏み入れた禍々しい扉の向こうは、予想に反して神々しいとさえいえる白い神殿だった。 …否、今までに通り過ぎてきた道程を考えるとその暖かさも静けさも、全てが邪悪な何かをかえってより強く想起させる。 祭壇に鎮座する巨大な石像の前でダンテは足を止めた。 あの古城からいかなる手段を用いてか姿を消したあの巨像。 以前は気づかなかった禍々しい気配。歴戦を切り抜け、感覚が鋭敏さを増した今ならはっきりと分かる。 その石の巨体に隠された何かが今まさに殻を破って現われんとしていた。 復讐に煮えたぎるダンテの視線を受け、石像が濁った声をごろごろと響かせた。 「再びスパーダの血と対面か。昔を思い出す」 ダンテの背に負った大剣…かつて自分を封印した魔剣士の手にあったその剣を目にしてか、 懐古めいた魔帝の呟きにダンテは彼本来の皮肉に満ちた口調で応じる。 「きっと結末も同じだぜ」 「果たしてそうかな」 低く忍び笑いを漏らした魔帝は、ダンテの背後へ向けて一条の光を走らせた。 不審げに背後へ首を巡らせたダンテは、そこにあるものに気づくや息を呑んで身を転じる。 「トリッシュ!」 壁にはりつけにされた白い体。 力無く垂れた頭はぴくりとも動かず、閉ざされた彼女の瞳がこちらを見ることはない。 「動くな。瞬きしても――女を殺す」 「…貴様!」 血相を変えて魔帝を振り返るダンテ。その体を魔帝の放った赤い光の刃が貫いた。 「ダンテ!」 トリッシュが弾かれたように顔を上げる。彼女は気を失ってなどいなかった。 もがき苦しむダンテを見つめるトリッシュの腕。 厳重に戒められていると思われたその腕には何の拘束もされてはいない。 またしても彼はその身に流れる血の為に罠にかかった。 一度は彼女を救ったダンテの人としての心が、再び彼女の為に絶体絶命の窮地へと彼を追い込んだのだ。 160デビルメイクライ(18)sage04/05/10 09 05 ID 1lukNIBM 「愚かな…それが人間の限界なのだ。スパーダの血も腐ったものだな」 嘲笑と共に地響きが起こり、魔帝の額に魔力を秘めた光が収束していく。 赤い刃に力を奪われ、憔悴しきって立つのもやっとのダンテにはそれを歯軋りしながら見ている事しかできない。 「さあ、死ね!」 勝利を確信した魔帝は光を解き放ち、それは一直線にダンテを襲う。 しかし死の槍が彼を貫く寸前、何者かが彼をその軌道上から突き飛ばした。 直後に光の凶刃がその痩躯を捕らえる。 「トリッシュ!」 愕然と見守るダンテの前で、彼の身代わりとなったトリッシュは全ての力を失い、大理石の床に崩れ落ちた。 「トリッシュ、バカな!」 よろめきながら起き上がり、ふらつく足で彼女のもとへと歩み寄る。 背後の魔帝が忌々しげなうめきを上げた。 「役立たずめ…邪魔をするとはとんだ失敗作だ」 ダンテはその言葉には応えず、もう二度と動かない彼女を無言のまま見下ろしている。 「戦意喪失か?では今こそ因縁の幕を引こう!」 再び収束された死の光がダンテに向かって殺到する。 微動だにしない無防備な背中が光線によってあわや切り裂かれる寸前、不意に彼は身を翻した。 途端に光はあらぬ方向に弾かれ、壁の高所を焦がして虚しく消える。 「いつまでも調子に乗るな」 唸るように低い声を押し出した彼の体から、赤い魔力の霧が立ち上る。 母を殺し、兄の命をもてあそび、そして今、母と同じ顔の女の命を奪った仇敵を見据える瞳は、 内に秘めたその激情が噴き出したかのような濃い真紅に染まっていた。 「出て来い、魔帝ムンドゥス!」 ダンテの声に呼応したように三度地響きが起こる。 石の巨体に亀裂が走り、生じた隙間からまばゆい光がほとばしった。 その身を覆っていた石の殻を振り落としながら姿なき「何か」が雄叫びを上げながら台座から立ち上がる。 見上げるダンテの上に長く伸びた影がかかり、影がその背に畳んでいた翼を広げると 純白に光る羽が螺旋を描いてはらはらと零れた。 魔帝ムンドゥスはついに人間界に真の姿を降臨させた。 ムンドゥスが翼を打ち振り両腕を力強く開くと、体から一息に闇が溢れ出し、 ダンテは瞬く間にその内に飲み込まれた。 161デビルメイクライ(19)sage04/05/10 09 07 ID 1lukNIBM 唇を引き結んでただじっとこちらを見上げているダンテに、ムンドゥスは指を突きつける。 「その目だ。スパーダと同じ、危険な光が見える」 「母の仇…」 ダンテがぼそりと呟いた。顔を伏せたせいでその表情を窺い知ることはできない。 「あんな生き物」 ムンドゥスがあざ笑う。 「母が欲しければ何人でも創造してやるぞ――トリッシュのようにな」 「黙れ!」 高笑いを上げながらムンドゥスが両翼を開いた。 ただ一度の羽ばたきでその巨体は辺りを取り巻く星の海を切り裂き、はるかな空の高みまで上り詰める。 魔帝の後を追うべくダンテは両足をたわめ、身を沈ませる。 次の瞬間天高く飛び上がった彼は、全ての魔力を解き放った。 赤い稲妻を放つ漆黒の体躯。背に広がるは六枚の禍々しい蝙蝠の翼。 マレット島での数々の激戦はその身に眠っていた彼の真の力を引き出すに至っていた。 今や伝説の魔剣士の正当な後継となった魔人と 数千年の時を経て魔剣士の封印から目覚めた魔界の帝王。 ここに伝説の戦いの幕が再び切って落とされようとしていた。 圧倒的な力を持った魔帝の攻撃を辛うじて避けながら、死力を尽くした攻撃を繰り出す。 斬れども斬れどもムンドゥスの魔力は果てがないかのように思われた。 だが果てしない戦いの末、幾度となく繰り出したダンテの斬撃は、ついに魔帝の力の最後の一欠けを削り取る。 己をさいなむ死の苦痛から逃れようとでもするかのようにもがきながら宙へ舞い上がろうとするが、 一打ちした途端に翼は粉々に砕け散った。 絶望の叫びと共にムンドゥスは瓦礫となり、崩れ去っていった。 162デビルメイクライ(20)sage04/05/10 09 11 ID 1lukNIBM 白い光が溢れる荘厳な神殿。大理石の床を踏みしめるダンテの靴音が響く。 魔帝とのあの激闘が嘘のように、辺りはしんと静まり返って何事もなく変わらぬままだ。 そう、床に横たわった彼女も。 ダンテは跪き、トリッシュの体を抱き上げた。 勿論彼女が目を開くことはなく、華奢なおとがいが力なくかくりと上向いた。 「母さんも俺を守って死んだ。そして、お前も…」 俯いて、漏れそうになる嗚咽をこらえる。 「俺は、お前を…」 擦れた声が震えるのを止められない。 「お前を暗闇から救えなかった!」 ダンテは天を振り仰いで慟哭した。辺りを覆う静寂の中に、悔恨の叫びが虚しくこだまする。 零れ落ちた涙が冷たくなったトリッシュの頬を点々と濡らした。 トリッシュを床の上にそっと横たえ、その胸元にアミュレットを置く。 銀の鎖がしゃらりと音を立てた。 「母さんの形見だ。お前に似合うぜ」 立ち上がり、ダンテは背中の剣を抜く。 眠っているかのように穏やかな顔の彼女の脇に、墓標代わりにスパーダを突き立てた。 「親父も見守ってる…安らかにな」 鳴動を始めた魔界。襲い掛かる魔物を切り伏せながら駆け抜ける。 主を失った結果、門の周辺が人間界と繋がった不安定な状態を維持できなくなり崩壊を始めたのだ。 門を抜け、古城まで帰り着いてもなお不吉な揺れは激しさを増しこそすれ収まる気配はない。 門が完全に消滅する前に早くこの島を離れなければ。 道を急ぐダンテの足元が不意に崩れる。 手がかりを求めて伸ばした腕は空を掴み、ダンテは暗闇の中へと落ちていった。 163デビルメイクライ(21)sage04/05/10 09 15 ID 1lukNIBM 水柱が高々と上がる。地面にしたたか打ち付けられた頭を押さえて辺りを見回す。 どうやら地下水路奥の広場のようだ。慌てて立ち上がる間にも人ほどもある岩が次々と落下し続け、 とりわけ巨大な岩がよりにもよって唯一の出口を塞いでしまった。 脱出口を探して視線をさまよわせるダンテはふと奥の一角に目を留めた。 いまだ崩壊を続ける周囲の状況にも関らず、 彼は息を呑んだまま何があるとも思えないただの壁を凝視している。 …否、彼が食い入るように見つめ続けているのは壁ではなくその手前の中空。 不意に宙に魔法陣が現われ、複雑な呪文がその表面に次々と映し出されていく。 同時に膨れ上がる強大な魔の気配。 最悪の予感が的中しようとしていた。 空間が歪み、閃光が視界を焼いた。 虚空を力ずくで押し開き現われたのは、やはり彼に打ち負かされ消え去ったはずの魔帝だった。 「魔界は開かれた。ダンテ、もう逃げられんぞ」 下半身を無理やり開けた即席の門の外に今だ残したまま、ムンドゥスは よろめくように後ずさるダンテを押しつぶさんばかりに這い寄って行く。 その体はあちこちが崩れ、露出した部分からは赤い体液がとめどなく流れ続けていた。 だがダンテもまた度重なる激しい戦いの疲労がピークに達し、ただ立っているだけでもつらい状態だった。 けれども彼は、この期に及んでなお道化た仕草で両手を広げ、 ぐるりを見渡しながらふざけた軽口を叩いてみせる。 「逃げるかよ。よく見な、もう出口なんかねぇ」 苦笑混じりに言った後、一転彼は射抜くような視線を相手に向けて、指をはったと突きつけた。 「だがお前も道連れだ!」 疲れきった体を叱咤して、必死の攻撃を次々と浴びせかける。 しかし幾ら闘志があっても限界を超えた体がついて来ない。 最早最後のあがきに等しい弱弱しい抵抗を、斬られるたびに外殻を破壊され、 肉でできた無数の触手まみれの化け物と化したムンドゥスがあざ笑った。 「どうした?その程度か、人間め!」 汗まみれで息をつきながらダンテは首を振った。 完全な八方塞がりだった ここで勝てたとしても地下広場から脱出する術はない。 いやそれ以前に残されたこの僅かな体力で勝つ事ができるのか…? らしくもなく絶望しそうになった自分に気づいて小さく悪態を漏らしたその時、 ふと辺りが奇妙な雰囲気に包まれていることに気が付いた。 164デビルメイクライ(22)sage04/05/10 09 21 ID 1lukNIBM 不思議な声が、どこからともなく語りかけてくる。 ダンテ…諦めないで。大丈夫よ… 優しい響き。聞き覚えがある声、いや、かつてはいつも聞いていたこの声は 「な…?か、母さん?」 愕然とダンテが問いかけるのと同時に、眩い光が明滅し、 ダンテが振り向いたそこに空間を切って現われたのは… 「私の力も使って!」 「トリッシュ!」 水音高く着地したトリッシュは素早く印を組むと、ダンテに向かって雷撃を放った。 ダンテの体にまとわりついた雷撃は以前のように彼を打ち倒すことはなく、 むしろ見る見るうちに新たな力が体中にみなぎってくるのを感じる。 これなら…一つうなずいたダンテは魔帝に向かってエボニーとアイボリーを構える。 持てる全ての魔力を銃に込め、トリガーを引く寸前、トリッシュが確信に満ちた表情で問いかけた。 「合言葉は?」 「ジャックポット!」 掛け声と同時に二つの銃から弾丸が放たれた瞬間、ダンテは反動で大きくのけぞった。 弾丸に込められた魔力が二筋の光となり、光は螺旋状に絡み合いながら一直線に魔帝を目指し、直撃した。 凄まじい魔力の嵐に門の内側へ押し戻されながらムンドゥスが叫ぶ。 「ダンテ、忘れるな…いつか必ず現世に蘇るぞ!」 怨嗟の絶叫に応えてダンテは茶目っ気たっぷりな敬礼を返した。 「あばよ。戻ってきたら――俺の息子によろしくな」 優雅に腰を屈めて会釈をすると同時に扉は封印され、一条の稲妻を残して消え去った。 お互いに駆け寄ったダンテとトリッシュは硬く抱きしめあった。 「ダンテ、私…」 身を離したトリッシュが涙を拭いながら何か言おうとするが、言葉にならない。 ダンテは真っ直ぐにトリッシュを見つめ、優しく囁いた。 「トリッシュ…悪魔は泣かない。その涙は――人間の宝物だ」 トリッシュはその言葉を反芻するようにしばらく沈黙していたが、やがて力なく首を振る。 「でも手遅れよ」 ダンテは顔を上げ、辺りをゆっくり見回した。揺れは激しくなり、次々と瓦礫が崩れ落ちる。 脱出口はどこにもない。瓦礫に押しつぶされる悲惨な最後が刻一刻と近づいていた。 しかしダンテは力強い声できっぱりと言う。 「いや、間に合ってくれた」 そう、彼は彼女のおかげで魔界の封印を守ることができた。それに… 165デビルメイクライ(23)sage04/05/10 09 24 ID 1lukNIBM 不意にひときわ激しい揺れが起こり天井に大穴が開いた。 穴の上から武器格納庫にあった、あの古い複葉機が降ってくる。 ぼろぼろの赤い機体を前にして、ダンテがトリッシュに語りかけた。 「そして俺たち人間は絶対に諦めない…行くぜ!」 足を踏み出したダンテの後ろにうなずいたトリッシュが続く。 プロペラが回転をはじめ、機銃が壁を破壊した。 「飛ばすぜ!」 ダンテは叫び、複葉機を離陸させた。 複雑に入り組んだ地下の洞窟の中を縫うように突っ切る。 背後からは炎が迫り、行く手には張り出した鍾乳石が立ちふさがる。 どちらにつかまっても命はない。自然操縦桿を握る手に力がこもった。 荒波が打ち寄せる岸壁。 ダンテが操る複葉機が洞窟から飛び出すと同時に炎が噴き出す。 それから数秒も置かないうちに島が崩壊し、 ちっぽけな飛行機は怒涛の勢いで広がる噴煙にあっという間に飲み込まれてしまう。 が、そう思ったのもつかの間、小気味いいほどの勢いでプロペラ機が煙を切り裂いて姿を現す。 ダンテはちょっとした曲芸めいた飛行技術を披露しながら、子供じみたはしゃぎ声をあげた。 眩しげに空を見上げながらトリッシュが言う。 「青い空…綺麗だわ」 「青空は誰の頭上にも平等に広がる」 胸に手を置き、彼女は小さく一人ごちた。 「空のように、心が晴れていくようだわ」 ダンテがちらりと背後を振り返る。 「忘れるな。魔界はいつかまた復活する」 軽くなった心に重しを置くような彼の言葉に、 後部座席から身を乗り出したトリッシュはウインクして微笑んだ。 「心配ないわよ。伝説の魔剣士ダンテがいるもの。その相棒もね」 赤い翼は海の上を太陽へ向かって真っ直ぐに飛んでいく。彼らは太陽の下へ帰るのだ。 太陽の下、人間の世界に。 深夜。満月の下、都会の喧騒が天高くに向かって這い登る。 どこか遠くからパトカーの音がかすかに聞こえる。 全ての騒音を圧して唐突にけたたましいベルの音が響き渡った。 どぎつい赤の電飾が瞬くダンテの店。看板の文字が真ん中の言葉だけ変わっている。 「デビルネバークライ」 デビルネバークライ(悪魔は泣かない) そう、ダンテがあの時、過去を悔いて泣くトリッシュに言った言葉だ。 「依頼ね。場所は?」 電話に出たのは男ではない。歌うように軽やかな女の声だった。 「すぐ行くわ」 どうやらかなり切羽詰っているらしい相手に女は頼もしげな答えを返した。 女は電話を切ると、傍で聞いていたらしい相棒に事のあらましを説明する。 「 合言葉 の客よ。ヤバそうね」 「オーケイ、十分で片付けようぜ。クソどもをそれ以上生かしちゃおけねぇ」 口の悪い返答をしながら扉を開けたダンテにトリッシュは 「五分よ」 と広げた手のひらを突きつける。ダンテはにやりと笑って両の拳を打ち合わせた。 「ラクショー!」 166デビル人sage04/05/10 09 25 ID 1lukNIBM 以上ミソーン20:悪夢との対決(SHOWDOWN WITH NIGHTMARE)からミソーン23:母の導き(MOTHER S GUIDE)及び エピローグでした。 後小ネタ。ダンテマストダイ(最難モード)クリアした時だけマレット等脱出した直後の シーンでダンテが「If Devil May Cry is rocking,You ll never knocking,baby,Year!」 と叫びます。意味は「デビルメイクライが良いと思ったらごちゃごちゃ文句言うんな!」 だそうです Devil May Cryに関係ないレスの一部、不快に感じられる言葉など削除、訂正済
https://w.atwiki.jp/shibagaki/pages/15.html
★☆★ 柴垣医院業務マニュアルwikiとは ★☆★ 医療法人社団明洋会柴垣医院(自由が丘・戸越)における業務・作業マニュアルです。 当法人の職員以外の閲覧・編集は認められておりません。
https://w.atwiki.jp/ksgmatome/pages/1350.html
Wiki統合に伴い、ページがカタログに移転しました。